ましゅー

ペイン・アンド・グローリーのましゅーのレビュー・感想・評価

3.9
昨晩は久し振りに複数人で飲みに行きました。いつもの特撮バーでしたが、緊急事態宣言が出る直前が最後だったので、実に2ヶ月近くのご無沙汰。
おかげで興が乗りすぎて20時から0時近くまで飲み続け、今朝は昼近くまで撃沈。
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という事でようやく今週日曜6/21晩に鑑賞を決行した本作のpostです。個人的にはかなり間の空いてしまった #ペドロアルモドバル 監督作品。
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この監督、かなりエキセントリックな作風との噂はかねがね聞いてはいたものの、2012年に公開された「私が、生きる肌」一作しか観れておらず、非常に「深い愛」は感じ取れたものの、噂通り、いやそれ以上の奇矯な作風そしてストーリーに、その一作のみでかなり気になる存在になったのはもう8年も前なのですね。
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ただ、残念ながらそれ以前の作品もその後も観る機会がなく、今日まで過ごす事となり、その名前はさほど意識に上らなくなってきた昨今。ふと目に入った新作情報に本作があったのですが、最初はアルモドバル作品とは気づきませんでした。
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もう覚えてませんが、何かの拍子に詳細を見たのでしょうね。

世界的映画監督が心身の不調からスランプに陥り、過去の回想に耽るようになる中、32年前の作品の上映依頼が届く…というアウトライン。
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ん?監督ペドロ・アルモドバル?アルモドバル⁉️
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本作がアルモドバルと気がついた途端、無性に鑑賞意欲が湧いてきて日曜21時台の上映時間にもかかわらず家を飛び出して車で10分程のシネコンに駆け込んだのでありました。
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全体的には、そう、アウトライン通りの流れなのですが、普通ならこうした心の迷いや内省的、自伝的な内容の映画にさほど惹かれることはほぼないのですが、流石アルモドバル。
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黒いソリッドな字体でのタイトル&スタッフクレジットが入った白いタイルが、まるでウルトラセブンの第2弾オープニングのようなカラフルなマーブル模様がうねうね動く背景に浮かんでいる様は(冒頭に特撮バーの話を入れたのはこれが言いたかったから!…ではないんですが😂)、のっけから不思議な高揚感を醸し出します。
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その後に続く郷愁を誘う少年時代の回想と( 母親役の #ペネロペクルス 少々歳を重ねた風貌は隠せませんが、相変わらず可愛い&美しい…😍)、身体のあちこちにガタが来て休業中の、鬱々とした日々を送る映画監督の現在が交互に重ねられていくのですが…。
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途中、身体の不調について独り語りが入るシーンも、サブリミナル効果でも起こしそうな極彩色を駆使した人体解剖的なCGが目まぐるしく動き、ともすれば淡々としがちな独り語りを目の離せない場面に変えます。
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また登場する舞台、衣装・室内内装・装飾物、そのどれもがビビッドな配色ばかりで、目にも嬉しいつくり。
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過去の回想に出てくる洞窟内の家屋こそ、壁面は白く塗られていますが、あしらった装飾品・観葉植物が却って鮮やかさを感じさせますし、そのリビングと思しき部屋は針金で組んだ粗めの網しか天井に張っていないため陽光が直接降り注ぐ何とも気持ちが良く居心地も良さそうな場所として描かれています。
(雨が降ったら大変と登場人物自身が言ってはいますが😂)
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ストーリーそのものは、やはり比較的しっとりと、むちゃくちゃ大きな事件がある訳ではないですが
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(それでも、過去作の主役との和解と思いきや再度の確執と再びの和解、若かりし頃 心を通わせて一緒に暮らした盟友(恋人?)の男性とのつかの間の再開、最愛の母との別れに至る数日の回想など、起伏は結構あります。)
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上述のような、刺激的で、想像力を掻き立てる要素がそこかしこにまぶされているのは、やはり非凡であろうアルモドバル色に染め上げられた非凡な作品との印象を強く持ちました。
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何よりラストシーンの衝撃❗え?今まで観てきた回想は?え?
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…アルモドバル、やはり非凡な監督です。過去作を全て観たくなったのは必然でありましょう…😌
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(以下 公式サイト イントロダクションより抜粋)
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過去の悲しみも輝きも抱きしめて ー 。
人生の最終章まで楽しみたいあなたに贈る人生讃歌。スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督 待望の最新作!アルモドバル版「ニュー・シネマ・パラダイス」の誕生。
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監督はポップな映像とユーモアにあふれた作品でデビューを飾り、初期の頃にはスペインの奇才と呼ばれたペドロ・アルモドバル。
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そのアルモドバルが70歳という円熟期を迎え自らの命を注ぎ込んだ、初の自伝的な作品を完成させたのだ。人生の深みに分け入るテーマと独自の感性による美しい映像で全盛期を想起させると共に、奥行きのある味わい作品と、各国メディアからも手放しの絶賛を受ける最高級の逸品がついに日本にも披露される。
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