親との関係、映画製作との関係、病気などをテーマにした終活か?とも思わせるアルモドバル監督のひとつ集大成のような作品。
2020年213本目。
コロナ騒動後初の劇場鑑賞でした。作品のマニアック度も相まってお客さんもほとんどいなくて映画館経営の厳しい現状を目の当たりにしたような気がします。
さて作品ですが、アルモドバル監督作品を初めて公開時に観られるということで楽しみにしていました。これまで女性を中心に描くことが多かったアルモドバルが男性を作品の中心に据え、自身をダブらせていると思われる演出も多くひとつ監督としての集大成のようなつもりなのかなと感じます。
薬物依存、加齢に伴う身体の痛みや病気との格闘という人間らしいテーマを扱い、その中で母親や映画との関係性を盛り込んだ内容はとても興味深かったです。全体的に毒はそこまでなく、落ち着いたトーンで話が展開しますが、色彩感覚や独特の演出はまさにアルモドバルっぽかったです。
この次の作品でアルモドバルがどんな内容の作品を撮るのか、楽しみです。