ペイン・アンド・グローリーの作品情報・感想・評価

「ペイン・アンド・グローリー」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

この作品は想像以上に良かった。観る年代で評価が違うかもしれないが、アルモドバルほど年をとっていない私でも沁みてくる映画だった。
堕ちていってしまいそうな主人公を引き止めた周囲の人々、母の思い出、過去の恋人。
前へ進むことを選んだ彼が誇らしく思え、ラストシーンには唸った。見事だった。
青

青の感想・評価

3.4
長野ロキシーにて
タイトルからストーリーまで、あらゆる描写がとても美しかった.....
タイトル通りに、確かなペイン(痛み)とグローリー(栄光?というより光?)をしっとりと感じる作品。
~痛みと向き合ってこそ、沸き立つ創作意欲~

ひとから認められた「表現力」を持っていたとしたら、培った経験や見識を元に、直接的に半生を振り返ったり、若しくは別のモデルに自身の意義主張を託したりする事は、至って自然な事では、あります。ましてや、その分野で成功を収めた、ひとかどの人物だったら、自伝的作品を発表出来るのは、その人に与えられたギフトで、誰も口を挟むものでもないし、ケチをつけるなんざ、もっての外ではないのかと。

映画で過るのは、ボブ・フォッシーさんの「オール・ザット・ジャズ」に、監督はしてないけど「NINE」。あと、直接的に自分の事とは言ってないけれど、黒澤明さんの「夢」でのゴッホを描いた挿話と、内田百閒を描いた「まあだだよ」でしょうか。前の出来事を考察して、批判がましくもなるし、何より内に向いた視点、内省的で閉ざされている訳だから、全くノレなければ他人事にもなってしまうのだろうけれど。でも、例に挙げた作品は、その分野の第一人者が紡いだものであるから、とうてい自己顕示の域を超えて、そこに尽くされた「創意」に触れた後世の者達に、今も驚きや感嘆をもたらします。

ただ、一流の表現者にしても、私メみたいな凡人でも、過去と正面切って向き合うってのは、心中に一本柱を通す如き覚悟が、欠かせない訳で。大半は、今が大事だとか、煩わせることがあるからとか、理由を作って臭いものと向き合わない様に、「ふた」をしがちでは、ありませんでしょうか。

アントニオ・バンデラスさん扮するサルバドールは、世界的映画監督の地位にありながらも、充電中といえば聴こえが良いものの、手術した脊椎の痛みが引かず、時折、喉に詰まったような呼吸困難にも陥る身体的な痛みや苦しみと共に、過去にあった失意や衝突が尾をひいていたのもあって、新たに製作に向き合えず、ほぼ、引退生活を送っているに等しかった。

ある日、スペイン国内で催される映画祭から、32年前に手掛けた作品の再上映に併せて、主演のアルベルトと共に劇場で、公開対談をして欲しいとのオファーを、サルバドールは受ける。その作品を見返す事が無かったのだが、それは、執筆した脚本を無視して我流に演じたアルベルトと、撮影で気まずくなったのが大きかった。

依頼を受けた以上は、「大人」として応えなくてはならないので、彼は、アルベルトを尋ねる。引退同然の彼と違って、演技への意欲が絶えないアルベルトは、創作の「気分転換」として、いけないクスリを所有していて、一時でも「痛み」から逃れたいサルバドールは、好奇心も手伝って、それを、「吸引」してしまう。

そこに現れたのは、ペネロペ・クルスさん扮する母ハシンタと過ごした、幼き頃のバレンシアでの生活だった。心身とも苦痛から解放される感覚に、サルバドールのいけないクスリを服用する機会が増えていくのだが、過去への逃避と現実での出会いは、行き詰まって闇に覆われたサルバドールに、一筋の光明を投げかける。

劇中の引退同然の主人公と違って、監督業は元より、製作として他の方の監督作の援助まで買って出て、アルモドバルさんは精力的に活動していて一見すると相通じないようですが。自身の分身を、映画の世界で台頭し始めた初期の頃起用していた、バンデラスさんが演じている事に大きな意義があります。劇中の映画祭で取り上げる作品の様に、監督と演者として、1本の作品では語りつくせぬ経緯が想像できそうですが、本作では、東洋人には、考えられないラテン気質な大人げない振る舞いを経て、「痛み」に重ね合わせて背けたい出来事も、新たな出会いや閃きに転じられると、流ちょうな語り口で見せてくれます。

バンデラスさんも、そういう演出者の心情を汲んでか、身体の不調にかこつけた「諦め」を過去への郷愁から転じて、あらたに創造への意欲を駆り立てて行く、表現者の「再起」を、まるで消えかかった炭が、再び赤々と火を燃やすかのように、生気を纏っていく様を見せて応えています。劇中のサルバドールの居所の調度品は、アルモドバル監督が実際に所有しているものを用いたらしいですが、後半、バンデラスさんが、羽織る緑色の革ジャンも、私からしたら、なかなか手の出ない色彩のもので、やはり、監督本人のものじゃないかと勘繰ってしまう。

見ている者の心配をよそに、サルバドールは、いけないクスリを断ってくれるのですが。
その白い粉末の吸引は、過去の郷愁への「入り口」で、その中で、これまた監督の盟友的存在のペネロペさんが、言動から母性の「魅惑」を振りまいてらっしゃいます。見る目の無い方には、自己顕示欲の塊に映るかもしれませんが、サルバドールの目線である、この過去の情景の扱いの巧さに、本作が、今後も語られる作品である事を示しておりました。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございます。
シネプラザサントムーン 劇場⑪にて
dai

daiの感想・評価

4.0
アントニオ・バンデラス扮するサルバドールは世界的映画監督でありながら退廃的な生活を送っていた。新作映画を作る気力はなく、薬物に溺れてしまう。そんな中、過去作の上映の依頼が舞い込み、仲違いした友人であり仕事仲間と再会する。それをきっかけに過去へと想いを馳せる。サルバドールの子供時代には果たしてどんなことがあったのか?

子供時代の体験は、その後の人生に大きく影響を与える。識字に難を抱える彼との出会いはサルバドールの人生に大きく影響した。

ペインアンドグローリー
痛みと栄光

キラキラ輝いて見えても、その影にはいくつもの痛みがあるのかもしれない。そうやって痛みを抱えながらみんな生きているのだろう。
chikawo

chikawoの感想・評価

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これまでの人生を作ってきた思い出はどれも本当に大切。自分だけの宝物だと言ってもいい。これからもそれに匹敵するような新しい思い出が増えてくんだろうなーと思うと、もうちょっと生きてもいいかなーと思える。
ちいこ

ちいこの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

栄光と豊かな暮らしを手にしていながら、心身の衰弱が原因でヘロインに堕ちていく様は胸が痛くなる。
愛した母への後悔と孤独。救ってくれたのはやはり愛。
ラストには驚かされた!なんだよ乗り越えてんじゃん!って理解した瞬間、私自身の未来もなんだか明るくなった。
何年後かにまた観たい映画。
愛する人の力は、こんなにも大きいのか!
美しい!
ギャガ時代にアルモドバル映画を一緒に宣伝した仲間と鑑賞。

アルモドバル監督の自伝的な作品ならではの
主演はバンデラスで
母役には、ペネロペクルス

リッチな映画体験でした
あああ、粋!!洒落!!!ってはしゃいじゃう
hono

honoの感想・評価

3.8
アルモドバル監督作品、今までピンときてなかったのだけど、これはクリティカルヒット。すーーーごく好みでした。
途中の…キスシーン………最高。
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