うっちー

82年生まれ、キム・ジヨンのうっちーのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
3.4
 原作はもちろん読んでいるので映像化は難しいだろうと思ったけれど、やはり。所々グッとくるシーンはあるものの、なにやら時間軸が整理されていないような感じでぐちゃぐちゃになっており、ジヨンの苦しみがどこから湧き出てきているのか、伝わりにくいのではないかと思った。
 また、家族、親族、職場の人々などの存在も重要な作品だけど、途中あまりにたくさんでてくるので誰が誰かがわかりづらい。ながいプロセスがあっての話なので、2時間に収めつつ、破綻なく、しかも印象的に見せるのが難しい話なのだと思う。ドラマシリーズで、子ども時代なども丁寧に描写されるべきだったのかもしれない、と思ってしまった。

 しかし、主演のチョン・ユミは、やつれていても瑞々しい美しさだし、困惑、苦悩しながらも明るさを感じる夫役のコン・ユも素敵だった。ただ、ジヨンの憑依の場面はそれほど異様に感じられないように思った。ここはもう少しオーバーでもよい気がした。
 特筆すべきはジヨンの母役、キム・ミギョンさんの演技と存在感。彼女が夫に食ってかかるシーンにいちばんジーンときたかも。悔しさを耐えて生きてきたからこそ、子どもには性別にかかわらず思い通り生きてほしいと願うお母さん。絆されました。

 余計なことだけれど、まだ働いていなくても3歳以下の子どもを短時間保育所に預けられるのか、韓国は、と思った。日本では、親が病気、あるいは看病をしているなどの事情がないと、まず預かってくれる場所はない。個人的にかなりの高額でシッターを雇うとかでない限り。この映画では保育所にふつうに預けているようで、えっ、と思った。フランスとかはふつうらしいのだけど。いくつか社会的な事情は違うけれど、保育事情が劣悪な日本は、世界的にも女性、しかも働く母親が生きづらい国なんだなぁ、と改めて感じた次第。
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