これは女性なら誰もが感じたことのある、不条理や不公平感、遣り場のない不安や不満を丁寧に掬い上げた作品ではないでしょうか。
世代も国境も関係なく。
私自身は学生時代に漠然と「なんで？！」と疑問に思いつつ、憤りを感じていたこと（痴漢や親戚の言動等）を思い出し、亭主関白な父に常に振り回されていた母親の苦労が脳内で再生された。
男性はこの映画、どんな思いで観ていますか。
作品中、コン・ユ演じる夫は決して亭主関白ではなく、俗に言う「やさしい旦那さん」。
でも、妻が抱えていることに共感や理解はできない。
だから妻を失う不安に苛まれ、自分がそこまで妻を追い詰めたのかと悩む。
夫方の実家への帰省を、やめにしようかと夫が言い出したときの夫婦の会話に、噛み合わないもどかしさが如実。
その後、必死で解決策を探し、妻を支えようとする姿に愛情と誠実さが見て取れる。
主人公ジヨンが母に対していたわりのことばをかけるとき、「憑依」していることに衝撃を受け泣き崩れる母。
帰宅後、真っ暗な寝室で横になっている母。
ジヨンの様子を目撃したわけでもなく、母の逆鱗に触れてぽかんとした直後オロオロする父。
その後、父も弟もジヨンの好きな食べ物さえ知らないのかと愕然。
（なんで？興味ないから？）
この父親、息子に特別、関心があるわけでもないようで、ジヨンの方が欲しがった🇬🇧土産の万年筆なんて行方不明になっていたことから、弟の好きなものも知らないよね。。
悪意はないけれど何だか寂しいおとうさん。
家族にも心を配ってね！
今作には魅力的な女性が大勢、登場する。
・ジヨンの姉、ウニョン
聡明で志が高い。だから日常の些細な問題に左右されず俯瞰で物事を注視している。さりげなくやさしいのも本当に知的。
・ジヨンの元同僚、ヘス
村岡希美さん！ではないけれど、現実を冷静に把握し、淡々とキャリアを積み上げていく努力家さん。
・ジヨンの上司、チーム長
カッコイイ！！頭の古い男性上司の無神経な発言など、ウイットでさらりと斬り返す。
プライベートについては弱気な発言もあり、親近感が湧いた。
・ジヨンの母
勿論オオトリは母親でしょ。ジヨンへの渾身のバックアップに母は強しと感涙。
ジヨンの娘はどんなふうに育つかな。
