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ポール・サンチェスが戻ってきた!のclaireのレビュー・感想・評価

4.2
誰がこの物語を語り始めたかを思い出せば何(誰)を信じるかは疑うべきであってそれは当の本人から「肉屋がソーセージを売る時代」(冗談とあしらうが)とネタバレすることでこれまで見てきたものが誰の視点によるものだったのかを考えずにはいられないけど映画が文学よりも曖昧でより含みに富んでいるのは人称と語りの特定ができない(クンニリングスの女側POVと第三者視点の授乳的feed)ことでもあって語り手が依拠してるのはあくまで電話と狂ったとされる妻だけと考えるといかにも現代的なポスト・トゥルース的な皮肉的なテーマでもあり、真実/虚構、善/悪、正常/異常の二項対立で物語を消費しがちな浅ましさより現実的にそこに回収できないリアルさが後半にかけて加速する。増殖するポール・サンチェスというより、代理表象的ポール・サンチェスというより、アノミー的ポール・サンチェス。
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