「フェアウェル」
A24が制作した中国の終末期医療に関する映画。中国では家族が癌になりもう助からないステージまで来ると本人にそのことを告知することなく最後の時を迎えるらしい。
本作はステージ4の癌であることを隠して世界中から中国に集まる中国人家族を題材にしているので一見中国映画に見えるかもしれないがアメリカで制作されたれっきとしたアメリカ映画である。
その意義といえばアメリカにはない中国文化を幅広く伝えることだろうか。家族の在り方、結婚観、死への在り方、アメリカとはどれも異なるがその違いを悪いことのように描くのではなくあくまでも異文化として描いているところに好感をもてる。
先進国ではタブー視されている「インフォームド・コンセントに従わない医療観」を題材にはしているがそこよりも「異文化への理解」という点を強く訴えている気がする。
映画としては非常に静かで苦手な人にとっては苦手かもしれないがとても素晴らしい作品だと思う。A24らしさはあまりない。