【第77回ゴールデングローブ賞 主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)受賞】
本業はラッパーで、最近は『クレイジー・リッチ』『オーシャンズ8』など女優業にも進出しているオークワフィナの初単独主演作。
期待を軽々と越える傑作!とにかく撮影の美しさや考え抜かれたカメラワーク、詩的な映像表現が凄い。
オークワフィナは実際におばあさんに育てられたという境遇もあり、特別な演技はしていないのに自然に醸し出される祖母への愛情が感じられてよかった。オークワフィナは演技らしい演技をしていないのにその佇まいやセリフ、仕草が本当に自然でユーモアがある。それは監督もアフタートークで言ってたけど、演技を勉強してきた人じゃないからだろう。彼女は天性の映画女優だと思う。
おばあさんのナイナイを演じたチャオ・シュウチェンも素晴らしい…!家族を包み込む愛…
西洋・アメリカと東洋・中国の死生観の相違を描くのはもちろん、同じアジアと一括にされがちな日本と中国の文化的相違も描き出すのが素晴らしい。中国人は感情を表に出すけど、日本人は感情を出さないのが美徳とされる、とか。
鳥が印象的に挟み込まれたり、観客が考え、自分だったらどうか、と立ち止まる余地を残しているのがまた見事。
キャストも隅に至るまで完璧。日本人のアイコとかほんと絶妙な人連れてきたなーと感心した。
ルル・ワン監督とオークワフィナの今後が更に楽しみになる傑作。これ以上は求めようがないくらい。