レナ

フェアウェルのレナのレビュー・感想・評価

フェアウェル(2019年製作の映画)
4.0
自分が生まれた家はいつの間にかなく、故郷の言語も上手には話せず、移り住んだ先ではそれ故の苦労を背負わなければいけない。
自分がどこにも属せないように感じる移民二世の主人公が、中国とアメリカという移動においても、また祖母への送別というイベントにおいても、部外者のままにならず自分がどこから来てどこへ行くのか噛み締めながら進むのが素敵だと思った。

どうしても、自分の祖母のことを思い出して重ねて見てしまった。彼女が好きだったけれど家が遠かったのでいつの間にかあまり訪れなくなってしまい、年齢も価値観も大きく離れていて、彼女が他界したとき一番辛かったのはその隔たり、自分が彼女のことをよく知らないことだった。そういう意味で、命は人と人との間、気持ちの中にも宿るなあとこの映画を観ながら思った。

食卓をみんなでワイワイ囲むいくつものシーンが好きだった。誰かと親戚というだけで抱え込む面倒事を憎んだ時期も自分にはあったけど、この映画で住む国も価値観もバラバラなのに親族というふしぎな繋がりがあるということが、良いなと感じていた自分に驚いた。
それから悲しさと可笑しさが同居する表現がリアルでうまいなと思った。まさに親族の集まりってこういうかんじ。お墓参りのシーン、披露宴の調子の外れた歌、そして最後の種明かし。
レナ

レナ