回想シーンでご飯3杯いける

劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さんの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.3
仕事一筋の父親が会社を辞めて、単身赴任先から突然帰ってきた。子供の頃に一緒にファミコンで遊んだきり、全然会話もしなくなった父親と、オンラインゲーム上で他人として知り合い、心の内を探るという話。

劇中の4分の1程度をゲーム画面が占めるという点で、かなり冒険している。そのゲームはタイトルからも分かる通り国民的人気RPG「ファイナル・ファンタジー」だ。変にマニアックではなく、誰でも知っているゲームだし、チャット機能を使いながらゲーム内の世界を冒険する機能は未経験者でもイメージし易い。冒険的な映画でありながら、うまくハードルを下げている点がとても良い。

ハードルを下げた分、父親と息子がゲームの世界で距離を縮めていく様子がとても丁寧に描かれている。ゲームでの父親とのやり取りを通じて、息子が仕事上のヒントを見出したり、妹と彼氏の結婚話にまつわる騒動など、サブストーリもなかなか充実していて、父子だけではなく、家族全体を描いたドラマとしてとても良くできていると思う。終盤は予想以上に泣ける展開で「ファイナルファンタジー」の画面を見ながらこんな感動を味わえるなんて予想外の収穫だ。

ただ、、、、、、

本作は「ファイナルファンタジー」ユーザーが綴ったブログが原作。それをドラマ化した物を、更に映画化したという事で、日本映画業界の相変わらずなコンテンツ乞食ぶりには、やはり落胆してしまう。今や原作を持たない日本映画を探すのはとても困難と言っても良いぐらい。

先にも書いたようにゲームを題材にした点は冒険しているしとても良いと思うのだが、先にブログやドラマで人気のほどを計った上での映画化となると、冒険でも何でもなくなってしまう。せめて、ブログから直で映画であれば、、、と思う。