♪ 今吹き荒れる 嵐の中 そう抱き合って
最初はSF、次にミステリ。
そして最後は恋愛…と様相が変わる展開が面白い作品でした…が。
うーん。
正直なところ、主人公に共感が出来なかったんです。理系女子ど真ん中なのに感情剥き出しにして、思考停止になる部分に…辟易としちゃったんです。
でも、気持ちとしては理解できるんですよ。
一人娘を“あるきっかけ”で失うツラさ…それは理解できるし、心を寄り添わせるに十分なんです。しかし、それ以上に“身勝手さ”が目立ったんですよね。
特に顕著だったのが終盤。
ネタバレになるので深くまでは言及しませんが、涙を誘う展開の後に待っている彼女の“選択”は弩級の覚悟を感じさせるも、圧倒的に“引いて”しまいました。いやぁ。アレはないわあ。
これは僕が男だから思うことでしょうか。
お腹を傷めて子供を産まないと…分からんもんなんでしょうか…うーん。
なお、それ以外については上々の部類。
伏線を鮮やかに回収した脚本。絶妙な小道具。役柄にピタリとハマった配役。そして、それらをまとめた監督さんの手腕は見事な限り。好評なのも頷ける話なんです。
なので、主人公に共感できない…。
この一点だけが僕の中で大きな瑕疵となった次第…うーん。残念。
思うに、僕は“乗り越える”人が好きです。
それは目に見える障害だけではなく、負の感情すらも“乗り越える”気概が好きなんです。自分もそうありたい、と思っていますし(それが実現できているか…は別の話)。
まあ、そんなわけで。
いわゆる定番の“時空繋がっちゃう”系の作品ですが、絶妙な伏線回収“だけ”を味わうには適した作品。主人公の造形は好き嫌いが分かれると思いますが…その辺りで引っ掛からなければ十分に楽しめると思います(というか引っ掛かったのは僕だけ…かも)。