ノラネコの呑んで観るシネマ

嵐の中でのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

嵐の中で(2018年製作の映画)
4.3
Netflix。
なかなか良く出来たスペインの時間SF。
ベルリンの壁が崩れた夜、ある事件に巻き込まれた少年が死ぬ。
25年後に少年の家に引っ越してきた主人公は、ひょんなことから時空を超えて、死ぬはずだった少年を救ってしまう。
ところが翌朝目覚めると、世界がズレてしまっている。
過去を変えたことで現在も変わり、主人公は自分の記憶にある人生を失ってしまうんだな。
世界を修正するために、彼女は鍵となる行方不明の少年を探しはじめる。
メロドラマ風味だけど、過去を修正することで世界線が増えていると考えると、ハッピーエンドとも言い切れない。
何しろ二つの世界の彼女が混線したとすると、主人公の世界は修正されたけど、混戦してた方の彼女はとんでもないことになっちゃった訳だし。
浮気男だって、必ずしも同じことしてるとは限らないだろう。
まあパラドクスを考えはじめると切りがないのは、この種の作品の常なんだけど。
しかし過去も現在も、事件を起こし物語の推進力となるのが男女の痴情のもつれというのが面白い。
人間関係がやたらと近いのが気になるが、センス・オブ・ワンダーを感じさせる秀作。