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TENET テネットのFilmarksのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.4
原因と結果、自由意志、運命とは。

「自由意志」の余地がどこまであるか分からないある程度決まっている「運命(fate)」(自分にとっての未来)に対して、それでもその状況に自己を投げ入れる、覚悟して引き受け前進する。

自由意志が運命を引き受ける、運命が自由意志を導くという、円環・連続した信条(TENET)、実存的テーマが描かれている印象(スピノザ的世界観?)。主人公と命と引き換えに主人公を守ることになるニールとのラストの別れ際の会話が印象的。

物理的世界だけでなく我々人間の思考もいかに一方向で不可逆な「時間」、「因果」に縛られているか、少しでもそれらの前提が崩れた途端いかに思考が混乱するかを身をもって実感させられた。

時間を飛び越えるのではない時間の「逆行」は革新的だが、ストーリーのオチ的には結局オーソドックスなタイムトラベルもの的な要素も強かったと感じた。

記憶(メメント)、夢と現実の境界(インセプション)、時間・因果の一方向性(テネット)といった自明視されている概念が(細かい疑問や矛盾は置いといてとりあえず)「相対化」されたらどうなるのか、映画を観るだけで観客自身に身をもって疑似体験させてくれる。
ノーランの難解な映画をそんな体験型映画と捉えると、内容が難解であると感じることそのものに意味がでてくる。ストーリー、内容をどう認識していいか分からないのは、観客自身が自明視していた認識の枠組みが崩され通用しなくなった証でもあるから。


再鑑賞

プロタゴニストは「無知(は武器でもある)」ゆえ、結果が分からずその場その場で「右往左往」するしかない。

ニールは予め全体像・世界観を把握しているゆえ、結果(運命(fate)・現実(reality))を知り、かつそれを「覚悟」し引き受け前進することができる。

観客は初回鑑賞時にはプロタゴニストの視点から物語を体験し、プロタゴニストと同様に終盤にかけ全体像・世界観が明るみになることでようやくニールの境地に至ることができる。

2回目鑑賞時には最初から全体像・世界観を把握しているので、「覚悟」・ニールの視点から物語を体験できる。

つまり、ニールが体現し、プロタゴニストがラストで至る「決定論的世界観かつそれを引き受け前進する倫理観」という作品テーマを、観客は逆行できない故に2回観ることで疑似体験できる仕掛けになっている。

やはり、メメント(記憶・記録)、インセプション(夢と現実、アイデアの着想)と同様、主人公らを取り巻く問題でもある作品テーマを映画鑑賞を通じ疑似体験できる仕掛け・構造になっている。


宮台
☆40:10~ https://youtu.be/rkViwzgZJzg
・https://twitter.com/miyadai/status/1317502349712138240?s=19
☆https://twitter.com/miyadai/status/1328934393004634117?s=19

宇多丸
・https://youtu.be/iojwCiUlodU
・https://youtu.be/6OOmYtQsENI

町山
・https://natalie.mu/eiga/pp/tenet03
・https://tomomachi.zaiko.io/_item/330282

監督キャスト記者会見
・https://www.cinematoday.jp/page/A0007416

ヨビノリ(エントロピー、反粒子)
・https://youtu.be/pt9uIbQV0JM
・https://youtu.be/z3_IA6JKOoQ

たてはま(タイムライン、物理学的背景)
☆https://cgbeginner.net/tenet-story/

タイムライン整理
・https://note.com/iso_zin_/n/n1735240d4cfa

ニールの正体
・https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/column/130_movie/10931

時間逆行SFの歴史
・https://qjweb.jp/column/39157/

自由意志と決定論
・https://note.com/mybrain_record/n/neea9e0a4d138