マクガフィン

TENET テネットのマクガフィンのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.7
目的が曖昧で敵・依頼主・パートナーどころか主人公さえ謎な諄い設定。心拍を逆なでする音楽、カーチェイスへの拘りに火力マニアぶり、凝った設定・演出や長尺なことはノーラン監督ならではだが、前触れと伏線の張り巡らせ方が思いのほか丁寧に。演出とノーラン流のタイムトラベル以外は、ベーシックでシンプルな作りで、説明セリフを省くタイトさも好みに。時間軸も2方向だし、弾痕・サイドミラー・回転ドアなどで順行と逆行する2方向がリンクする前兆は分かりやすい。伏線の張り方も如何にもだし、それらを説明セリフではなく映像で見せる前触れや、個々と大枠の幾層による伏線を回収する構想が好みに。タイムトラベルの整合性よりも、190cmの高過ぎる身長で全くひ弱そうに見えない奥様の違和感が気になるし、夫婦のドラマパートでのセリフの多さもノーラン流だが。

シュチュエーションの移り変わりとアクションの拡張も良く、ラストはさながら局地戦のように。一貫して断固たる決意を持っての行動だが未来は更なる決断をしなといけないラストがSFとのマッチさが良く、未来へ拡張する決意と決断にカタルシスが喚起される。続編があると予想。