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TENET テネットのoのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.5
世界の消滅を防ぐために、時間の流れの逆転をもくろむ未来人と戦う話。

引き金を引くと銃口に吸い込まれる弾丸。
全体として順行する時間と部分的に逆行する時間。
エントロピーの増大に対する部分的な減少。
ある解説記事によると、これは上から下に落ちる滝の流れの中で、何かのはずみで下から上に跳ねあがる数滴の飛沫としてイメージされる。(『【ネタバレあり】超絶映画『TENET テネット』がわかるかもしれない、「エントロピー」の話』)
ノーランがこのような素朴なイメージの着想からスタートして、時間の逆行する壮大なSF的世界の映像を作り上げたのだとしたらそれは確かに凄い。

残念なのはキャラクター間のドラマが物足りないこと。
順行する世界の中で1人だけ逆行する物語と言えばデヴィッド・フィンチャー『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』だけど、『ベンジャミン・バトン』には順行するキャラクターと逆行するキャラクターの間に、設定と密接に関係したドラマがあった。
ノーランの『インターステラー』でもSF的設定とドラマが見事に両立していた。
『テネット』は、そもそもなぜジョン・デヴィッド・ワシントンがエリザベス・デビッキに強く惹かれ続けるのかも分からなかった。
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