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TENET テネットのhiroのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
5.0
設定5/脚本5/役者5/映像音楽5/個性5
設備相性:IMAX◎

感無量。同じ時代に映画を作ってくれてありがとうございます。
時間を操るノーラン監督の、最新作にしてまたも傑作。

難解なのにSF好き以外にも受け入れられるのは、やはり視覚で楽しませる、というところから作品作りがされてるからなのでしょうね。映画館に行きたくなる仕掛けづくり。
今まで見たことのない映像に、興奮で肩を震わせっぱなし。実に人生ベスト映画『インターステラー』以来の衝撃でした。

内容も完璧。『ダンケルク』は脚本は薄味でしたが、今回は人情味溢れるストーリー。難解な時系列と展開に「???」状態でも、友情や家族との軋轢といった分かりやすいテーマが見続ける気力に。

アメリカではコロナの影響で絶不調の本作。なんとか製作費は回収して、(利権や予算の面で)ノーランが次回作に前向きに取り組めることを祈ります。

★★★核心を含まないネタバレあり★★★

時間遡行を映像化した作品がかつてあっただろうか?「ビッグバン」の反対、「ビッグクランチ」を扱った作品として『ミスター・ノーバディ』があった。他にも概念的に時間遡行を扱う映画はあるだろうが、遡行するその映像自体で楽しませてくる映画はこの先にもなかなかでてこないのでは。
だって、こんな脚本書けないって!時間を順行する人間と遡行する人間が対等に絡み合う。まったくもって意味不明である。

タイムスリップとちがうのは、時間遡行によって生じた原因と結果の逆転を、第三者=観客が直接観察する点。
タイムスリップの場合、例えば2019年に戻って起こした事象(原因)が2020年に影響を与える(結果)。2019年に原因が発生しなかった場合の結果は観察し得ない(タイムパラドックス)。
一方時間遡行の場合、2020年から2019年に遡る行為の中で原因と結果が生じ、それは時間順行する人間から見れば、結果→原因の順に観察される。

ここに頭がついていかない。遡行してるだけなら、銃痕が残っていればこれから銃撃が起きるということであり、死体があればこれから息を吹き返すということになる。それだけならなんとなくわかる。
ところがこの作品は、時間の順行と遡行を同時に描いてるため、例えば車の逆走という事象が、道を逆走してるのか時間を逆走してるのか判断がつかない。

これぞノーランの真骨頂。映像と内容、両面の衝撃。

★★★以下、ネタバレあり★★★

興奮のピークはなんといっても10分間の挟撃作戦。作戦の解説が本当に何言ってるかわからなくて肩揺らして笑ってました。建物爆破シーンは脳汁だらだらでした。

映像の話ばかりになってしまったが、多くを語らずにヒロインの変化を上手いこと描いてるのも最高でした。世界を救うと同時に家族からの束縛からも解放されるなんて、爽快感MAXですね。2回見たことで描写の上手さがようやくわかってきました。

そして順行主人公と逆行主人公の絆。いまだに逆行主人公のタイムラインは理解しきれてないのですが笑、『インターステラー』の親子とはまた違った、時を超えたつながりというのが、展開わけわからん(褒めてる)くても伝わってくる、そんなノーラン節に今回も一発KOでした。

2020-85(32) 第1位
2020-88(再), 2021-8(再)
再鑑賞:
②2020/10/11 109シネマズ川崎 IMAX2D
③2021/2/7 GooglePlay
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