真っ黒こげ太郎

KESARI ケサリ 21人の勇者たちの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

3.8
「ケサリ(サフラン)色のターバンを巻き!!!」
「ケサリ(サフラン)色の血を流し!!!」
「ケサリ(サフラン)色の反撃をする!!!」

「神の心理を唱えし者!!!」
「「「「永遠なる恵みを与えん!!!」」」」



1897年、英国軍とシク教徒が辺境部族を警戒していたインド北部。
イシャル・シン軍曹は命令の背いて女性を助けるが、無謀な行動をイギリス領の上司に咎められ、奴隷呼ばわりされバカにされた挙句サラガリ砦に左遷を命じれてしまう。

一度故郷に帰省した後、サラガリ砦にやってきたイシャル。
サラガリ砦は通信を中継するだけの場所だった為に、駐在する兵士は皆たるみにたるみまくってボンクラ化していた。
この惨状をみかねたイシャル軍曹は兵士をビシバシ鍛え、育ててゆく。
最初こそ兵は不満まみれだったが、段々と兵が引き締まり士気が高まり、イシャル軍曹と兵士達は強い絆で結ばれていった。

そんな中、部族連合が一万人の大軍勢と共に攻めてきた!!!
イギリス側からは援軍を望めず、砦を明け渡せと命じてきた。
インドの民をバカにしてるイギリスの命を聞いておめおめと敵前逃亡なんぞできっか!!!
21人の戦士達の、誇りを掛けた壮絶な戦いが始まる!!!!!



誇りの為に立ち上がった21人のシク教徒達の戦いを描いた、歴史アクション映画。
久しぶりにインド系のアクション映画が観たくなりレンタルした。

しかし、自分はインドの歴史には全くの無頓着なので観終わった歴史を調べてようやっと時代背景を知った感じでした。
でも、本作はそこら辺が不勉強でも楽しめた。
ストーリーも「左遷させられた軍人と左遷先の兵士が最後の意地を見せる」的な割と分かりやすい話で、前半コミカルなドラマ、後半シリアスな戦争モノと飽きさせずに楽しめる娯楽アクション映画。

前半はややコメディ寄りの内容で、兵士や主人公達の人情ドラマが喜怒哀楽満点に描かれる。
(なお、インド映画お約束のミュージカル描写やダンスも前半に固まっています。wwww)
ギャグ率高めながらも、ほのぼのしたホッコリ系の内容であるが、これはこれで楽しい。

しかし後半、敵が攻めてきてからは人が変わったかのようにシリアスで、壮絶な戦争ドラマが展開される。
僅か21人で1万人に挑む無謀な戦い。勝ち目ナシの絶望的な戦い。
それでも男達は誇りのために、戦いに挑む。
戦闘シーンはリアル寄りでそこまで派手ではないが、泥臭く、乾いた戦いは中々見応えあり。
(でも、インド映画的な肉弾戦はあるよ!!!)
クライマックスは死屍累々、敵も味方もこれでもか!と言わんばかりに死んでゆく…。
そしてラストは切ない…でも敵ボスに一矢報いるのが最高…!
彼らの雄姿が他の兵にも伝わるのが良かった。


ただ、こんな事言ったら失礼かもしれんけど、154分はちょっと長かったかな。w
終盤は少々ダレを感じる所もあったので、もう少しそこら辺をテンポ良くすればもうちょい良くなったかもしれんね。
後、前半がギャグで、後半がシリアスな展開になるのは好みが分かれそうかも…。


ちょっと引っかかる所はありましたが、偶にはこういうシリアスなインド映画も悪くないですね。
インドの歴史を知れたり、シク教徒のドラマも珍しかったし、そういった点も含めて楽しめました。

何時もの「痛快丸かじり!!!」な内容ではないですが、泥臭く熱い男達の物語をお求めならどうぞ。