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ひとよのazuのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
3.7
白石監督のファンなので公開前の試写会で拝見しました。が、某ホールの音響が悪く(響きすぎ?)セリフが聞き取れないシーンが多々あり、映画館で見直してからレビュー投稿しようと決めていました。

子供たちにひどい暴力をふるう夫を殺す母親。衝撃的な幕開けのはずなのですが、あまりにも冒頭すぎて、え?今ので死んだの?と不審に思ってしまい。いくらひどいと言っても、殺さなければならないほどの理由が本当にあったのか?よく分からないまま15年が経ちます。

もうこの時点で私はこの作品についていけてなかったんだと思います。
最近よく目にする家庭内のDV。対象はいろいろありましたが今年は特に、アンダーユアベッドでの夫→妻への壮絶な暴力や、インド映画でも目にすることが多く、私の感覚が麻痺してると言えばそうなのかもしれません。

話が進んでいくと回想シーンの中で、父親が子供たちに実際にどんな暴力をふるっていたのかがわかります。でも妻に対しては特にそういう描写がないんですよね。
殺すまでしなくても、子供もそんなに小さいわけでもないし、逃げるとか法の力を使うとか他の方法はなかったのかな?と的外れなことを考えてしまいました。それぐらい私の中で「夫を殺す」に至る心理的理由が弱かった…。

娘の園子だけは、父を殺してくれた=自分たちを守ってくれたと母に感謝している様子ですが、次男の雄二は、子供たちの人生がめちゃくちゃになってる時に何しに帰ってきたんですか?と母のしたことを許容できていない。(どちらも予告にあるシーンです)

なのでどうしても雄二の気持ちに寄り添って見てしまいましたね。。私だったら母親のことも恨むかもしれないなぁとか、2回目見た今でもモヤモヤと考えています。(楽園の時と同じ)

もう起こってしまったことで取り返しもつかないのだけど、それを起こしたのが一番近くにいた母親だという事実。本来ならもっと重苦しく見ていられないような作風にもできたんじゃないかと思います。
でも今回白石監督はそういう作りにされませんでしたね。凪待ちと同じように、最後はそっと背中を押してくれるような優しさがありました。
白石組名物の鮫エキスが出てきて爆笑🤣いつもは悪人ばかりの音尾さんが完全な癒しキャラです😆

ただ、、、
蔵之介さんのキャラ要ります?終盤のカーチェイスのくだりとか何のために差し込んだのか意味不明です😅私の中では完全な蛇足。たけるさんに飛び蹴りさせたかったからとしか思えませんww(高橋泉さんの脚本が苦手なだけかも)
蔵之介パートに時間使うぐらいなら、15年の間に子供3人が実際にどういう苦労があって悩み生き抜いてきたのかをもっと丁寧に描写してほしかった。
そういう意味で傑作にはなりませんでした。度々予告で見た「日本映画史に残る傑作誕生」はいくらなんでも言いすぎです笑

キャストのみなさんの演技は素晴らしいです。でもこのキャスト✕白石監督だったらもっとすごいものが見られたんじゃないかというファン目線な気持ちもあり、少しハードルを上げすぎました(^-^;

白石監督がWebインタビューで「凪待ち、ひとよと落ち着いた人間ドラマが続いたので来年はもっと暴れてやろうと思っている」とおっしゃっていました😆
孤狼の血の続編に期待したいと思います♡
(2019.86)
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