LION

ひとよのLIONのネタバレレビュー・内容・結末

ひとよ(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

理解、共感のシーンでいちいち音楽に邪魔されるのだけが嫌だった。

タクシー社長の「巻き込まれてやれよ!こういう風にしか表現できないのわかってんだろ!」が刺さった。
表現方法ではなく何を言いたいのか、積極的に感じてあげようとしてきた彼の一生がよくわかる一コマであった。

三兄弟とも、ガラスのような関係性しか築けてこなかったのかもしれない。この秘密を言ったらすべて崩れるかもしれない、自分を縛ってきた秘密から解放されたようにも見えたが、これからも彼らを縛り続けるだろう。ただその原因が寄り添い続け、正当化され続け、そしてそれは一夜の幻だったのかもしれないと思わされる。

ただ、いわゆる「荒れた生活」が綺麗すぎた。
堂下は恫喝の仕方で元ヤクザに見えないし、(親としての芝居は実直で良かった)タクシー会社の爛れた関係性、川沿いの貧困ギリギリの生活がもう少し汚かったら、もっと家族の関係が離れられない、どうしようもない、そして芽生えた疑似愛、みたいなのがもっと生まれやすかったのかもしれない。
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