人生のどこまでが「親のせい」なのか。
生きてれば、誰しも一度や二度くらいは「親のせいで」という恨み節を抱くことがあると思います。幼い頃は特に。。
他人は「そんなことに囚われてたらもったいない、自分の人生をまっさらな気持ちで生きたら?」なんて簡単に言うかもしれませんが、囚われてる本人からしたら、親のせいという気持ちを払拭するのはそう簡単じゃないと思います。
私も、子供の頃は散々殴られて育ったので、その頃は前向きな気持ちなんて持てなかったし、世の中に幸せなことなんていくらもないと思ってました。
親父の車が帰ってくるエンジン音が聞こえるたびに、この世の終わりみたいに気が沈むあの感じは、殴られて育った子供にしか分からないと思います。
12歳までよく殴られて、その頃のことを恨む気持ちが整理できたのは24歳くらいだったと思います。長いこと迫害されると、そのしこりが消えるまでに、同じくらいの期間が必要なのかもしれません。
この映画の主役三兄妹は、殴られっぷりが半端ではなかった上に、お袋がしたことの十字架まで背負って生きてきたわけですから、彼らは大人になってからもむちゃくちゃ引きずってます。
物語自体はまとまってるような、まとまってないような感じだったんですが、とにかく映画としてインパクトはありましたし、役者の演技は素晴らしかったです。
個人的には、とにかく松岡茉優でして。
もう、激賞です。私は骨抜きでした。
もう、彼女のまくらカバーがうちにあるやつと同じ(ちなみにIKEA)というだけでテンション上がるくらい、この映画での松岡茉優は輝いてました。女優として。
彼女の意識の中では、フィクションだという自覚がほぼゼロだったはず。作品世界への没入感、本当にすごかったです。
クライマックスで爆発的な演技を見せてくれた佐藤健と、地味に好演していた浅利陽介にも拍手を贈りたいです。
佐藤健は、亜人で鍛えた体さばきで?素晴らしいアクションを見せてくれましたが、あれは松岡茉優のカラオケと並んで、この映画のハイライトでしたね。
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個人的には、この秋の「家族や人の絆を描いた邦画」三部作の完結編、みたいな気持ちで臨んだのですが、
正直、私は「ひとよ」よりも最初の晩餐、楽園の方が好きでした。
この作品は予告編で過剰な宣伝をばら撒いていたために、無駄にハードルを上げて損してたなと思います。
話題作とあってか、上映中の人の出入りも多かったし、誰かの携帯電話も鳴ってたし、私が観た環境がよくなかったのもあったかも(でも、中盤以降の見せ場は集中して観れたのでまだよかった)。
もっとフラットに味わいたかったけど、売れてきた監督の話題作とあって、雑音は避けられなかったのかな。
虎狼の血が好きな方なら、劇場でご覧頂いて後悔ないだろうなと思いました。プロレスっぽい見せ場もありますし、ただ暗いだけの作品ではありません。
ふう、長い。
最後まで読んでくださったあなたに、乾杯🥂
ありがとうございます。