あわじゅん

ひとよのあわじゅんのネタバレレビュー・内容・結末

ひとよ(2019年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

白石監督やはり、いいですね。
家族のそれぞれの葛藤がよく描かれています。
話としてはありきたりの殺人者の家族その後...。なんですが、田中裕子主演としたところにやはり凄味があります。
「今夜は私にとっては特別な夜でも、他の人にとっては普通の一夜」という言葉がずっと耳に残ります。
そして、様々な事柄は夜に起こる。
佐藤健は荒んだ役をやらしてもイケメンぶりは際立つし、鈴木亮平の吃音も自然、松岡茉優に至ってはこう言う役が既に板についている。
圧倒的に暗い話かと思って見始めだけれど、最後は救われるエンディングもいい。親戚や回りの人がどういう経緯であれほど同情的で親切なのか、という経緯が省かれているところが、物語の長い間中ではギクシャクするところではあるが、大樹、雄二、園子、そしてこはるのキャラクターが自然に紡がれ家族の抱える苦悶、懊悩、共感、絆が鮮明になる。
どこにでもありそうな田舎の閉塞感、ネット社会の意地汚さ、他人事へのサディスティックな感情、悶々とどす黒い感情が取り巻く現代社会への警鐘とも受け取れます。