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ペトラは静かに対峙するのはろのレビュー・感想・評価

ペトラは静かに対峙する(2018年製作の映画)
2.8
淡々と生と死、家族と人間同士の関係と対峙するペトラ。主人公たちは自己の内面を露わにせず、こちらはその中で置き去りにされたままで、人物たちはまるで世界に執着など無いかのように呆気なく死ぬ。感情の揺れ動きやそこからくる衝動的な行動といったものはなく、静かで冷たい空間の中で展開される。部屋の中を写すカメラワークは面白い演出だが、部屋の中で交わされた言葉は、スペインの美しい自然に抱かれて死ぬことに繋がることになる。
ここに出てくる女性はあまり多くを語らない。父親を探してやってきたペトラはあまり芸術について熱く語ることもなく、真実を知りたいという言葉だけが実行を伴わずふわふわと宙に浮かんでいるようだし、商業主義に走ったジャウメは金目的のクソ野郎だと思いもするが、しっかりと芸術に向き合っているように感じる。正直ジャウメのペトラの作品に対する評価はそのとうりだと思う。あまりに自分の中で完結したもので鑑賞者のことを考えていない。芸術の中で真実を見つけるなんて意思は伝わってこないし、結局安定した家庭に落ち着こうとし本気で芸術に没頭しようとしていないことを見透かされているのだ。
ジャウメはたしかにクソ野郎だが、なんというか画面の中で悪者にされているものの人間はこういうもんで、むしろ周りがそれを許しすぎているのではないかと思ってしまう。ペトラは人生を狂わされたがそこに対する反抗などをしなかったのは余り共感できなかった。
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