『VORTEX』を観てしまった今となっては、ダリオお爺ちゃんの顔がチラついて、微笑ましくすら観てしまった。
オペラ座の新人舞台女優をめぐって巻き起こる惨劇を描いたサイコ・ホラー。
不幸を招くと伝えられる舞台劇「マクベス」のプリマに大抜擢されたヒロインが何者かに付きまとわれ、次々と恐ろしい事件に巻き込まれていく……。
もはや辻褄の合わない脚本にいちいちツッコミ入れるなんて野暮。独特の美意識で過激に貫かれた画の暴力に圧倒される。
冒頭映し出されるカラスの視点、そして一切映すことなく舞台女優の視線に寄り添った長回し…引き込み力抜群の見事なカメラワークに引き込まれる。
そして、ジャケにある目を瞑るとイタタな手作り感満載の針テープを筆頭に、チープな小道具や明らかなハリボテ味が一周まわってアートに見えちゃう不思議。
ロックな盛り上げ、大袈裟な悲鳴、恐怖のカメラワーク(誰かに見られてるカメラワーク)そして容赦ない殺害シーン…
素晴らしすぎる!
アルジェント監督の変態的なワクワクが観る側のワクワクとシンクロするような作品だった。
潔いまでのヒィィー!!ヒャャー!!なシーンもたっぷり(とりわけ奥様が標的となったあのシーンはトラウマ級)だけど、楽しかった!