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スケアリーストーリーズ 怖い本のsanbonのレビュー・感想・評価

3.5
"妖怪もの"としては面白い。

今作は、日本でいうところの「学校の怪談」シリーズのような、ティーン向けのファンタジーホラーとなっており、(ところで今の十代は学校の怪談を知っているのか?)純粋な恐怖よりもおぞましさや"ゲテモノ感"を重視して制作されている為、恐怖の対象も幽霊というよりもクリーチャーの類いが多く登場するのが特徴的である。

なので、今回は作中にどんな異形の存在が登場するのかという点にワクワク出来る方なら、それなりの楽しさは見出せるのではないかと思う。

例えば、直近で言えば「IT THE END」なんかが感覚的には非常に近いと思うので、ITと比べると登場するクリーチャーの数は及ばないが、あの怖くないけどクリーチャーワラワラな映像が面白かったと感じた方には比較的オススメ出来る作品だ。

更に、今作には「ペール・レディ(青白い女)」という、ITであれば「ペニーワイズ」学校の怪談であれば「テケテケ」のような、その作品の顔とも言える象徴的なキャラクターを生み出した点で言えば、その功績は大きい。

クリーチャーもので一番重要なのは、言わずもがなインパクト大のデザインな訳で、このご時世に世間がざわつくようなキャラクターを生み出すのは中々に難しいのだが、その点ペール・レディはネット界隈でも画像が拡散され、このキャラクターだけ映画を飛び出し一人歩きしていた程話題性は抜群だったし、実際その見た目だけでこの映画を観てみたいと思わせる"訴求力"を確かに備えていた。

どうやら、このキャラクターは原作の絵本の挿絵を忠実に立体化したものらしく、その恐ろしさのあまり全米では学校図書館に置くことを禁止された程という話なので、そう考えると話題性に富んでいるのも、企画を立ち上げた「ギレルモ・デル・トロ」がその絵本に惚れ込んでいるのも納得と言えるポテンシャルが、この作品には元々あったのかもしれない。

ただし、肝心の怖さに関してはやはりもの足りないと言わざるを得ず、ティーン向けらしく過激な表現もかなり抑えめで、クリーチャー自体ビジュアルはバリエーション豊かでも襲い方には工夫がなく、かつグロテスクさにも欠けたライトな口あたりなので、その点が単純に評価を落とす要因にもなってしまっていた。

やはり、グロい見た目のヤツが怖く感じる所以は、その見た目に加え行動に予測がつかない点にあると思っており、その上で期待するのは予想の斜め上をいく"むごい"襲い方なのだが、それに関しては今回思ったよりも単調で正直退屈な部分もあった。

それに比べれば、序盤で主人公達がいじめっ子なのかなんなのかに行った仕返し?の方がよっぽどエゲツなくて、これでは人間の方が恐いわとなってしまう程であった。

こういう倫理を逸脱した悪ふざけを見ると、つくづくアメリカってモラルの在り方がぶっ飛んでるよなと正直引いてしまう。笑

まあ、何はともあれコンセプトとしては悪くない出来であったし、終わり方からしてシリーズ化を狙っているような展開だったので、もし次作が作られるようであれば、今作よりも更にクリーチャー特盛で楽しませてくれる事を期待したい。

それにしても、ウ○コ爆弾ってマジなんなんだよ…。
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