sugar708

デッド・ドント・ダイのsugar708のレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.0
ジム・ジャームッシュ節全開のゾンビ映画。

恐らく本作は「巨匠ジム・ジャームッシュがゾンビ映画を監督したら?」という要素が非常に強いのかなと。だから彼のファンや映画ファンからするとヨダレものなのは間違いありませんが、単純にゾンビ映画として観ると冗長にも思える冒頭シーン等に少し退屈さを覚えてしまう部分もあるのかなと。

しかし、ビル・マーレイとアダム・ドライバーの掛け合いを始めとするセリフや間、カットのテンポ感は正にジム・ジャームッシュというか、ゾンビ映画とは思えない心地よさとだなと私は思います。

ダイナーのシーンとか三人それぞれ死体を見せる必要があるのかなとか笑

そういう点に置いては、テーマ曲であるカントリー調のデッド・ドント・ダイが流れる中で巻き起こる田舎のドタバタ劇は正に愛すべきB級映画の王道だと思います。

「ゾンビ=物質への依存者」として捉え、コーヒー、ケーブルTV、シャルドネ、お菓子など生前好きだったものに執着する物質主義の化身といえるゾンビと戦う彼らの結末はひどいものかもしれませんが、現代社会を生きる我々に取っては致し方ないものなのかなと。

物質主義から逃れるためには世捨て人のボブのような生き方をしなければいけない、果たしてそれはそれで幸せな生き方なのか。

物質に支配されながら大衆とともにゾンビとして生きていくのか、世捨て人となり社会と断絶して生きていくのか。この映画はそんな究極の二択が突きつけられているのかもしれません。
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