TERUTERU

デッド・ドント・ダイのTERUTERUのネタバレレビュー・内容・結末

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

 
 この映画は巨匠ジム・ジャームッシュ監督の豪華なアンサンブルキャストによるゾンビエンターテイメントショーだ。🧟‍♂️


 久しぶりの劇場映画!そろそろコロナも落ち着いてきたのでたまりにたまっていた映画愛という欲望を発散しに、再出発という気持ちを込め出だしのいい映画を観たいと思い長い自粛期間の間で決めていたこちらの映画…

『THE DEAD DON’T DIE /デット・ドント・ダイ』

そう!第72回カンヌ国際映画祭の幕開けの映画で、巨匠ジム・ジャームッシュ監督作品だ!🎥🎞


 第72回カンヌ国際映画祭の幕開けの映画、『THE DEAD DON’T DIE /デットドントダイ』ジム・ジャームッシュ監督最新作はなんとゾンビ映画だった。ジャームッシュ監督と言えば『ストレンジャー・ザン・パラダイス』や『ミステリー・トレイン』、『ブロークン・フラワーズ』で数々の賞を受賞したカンヌの常連様。アートフィルムのような特徴だがユーモアと気楽な雰囲気に包まれ憎めない愛らしい映画作品たち、あくまでインディーズ作家として映画を創作し続けていったのが、ジム・ジャームッシュ監督だ。

 そして今作もなかなかの奇策なユーモアが炸裂している。というよりもほぼジャームッシュ監督の過去作品で出演した仲良しファミリーで作られたおふざけ映画だ。真面目にゾンビ映画としてみるとサバイバルアクションのようなゾンビを一掃する映画でもなく、期待していたのとは違うと思うのでは?きっと最後の結末が腑に落ちないだろう。ほら、アダム・ドライバーも言っていたね、「この結末はよくない…」って。
 そう先ほども言ったジャームッシュ監督の仲良しファミリーの今回の出演者、メインで登場、「ビル・マーレイ」は『コーヒー&シガレッツ』で、「アダム・ドライバー」は『パターソン』にて登場してたね。この二人がタッグで警察署長(ビル)と巡査(アダム)役で登場してたが、この二人の共通点といえばリアクションが薄いのとほぼ無表情な印象。ゾンビに襲われた死体をみても表情が変わらないんだよね。だいたい大袈裟な演技が売りなのがホラー映画だが、不思議と落ち着いて見れるゾンビ映画なんだ。
 そしてもう序盤でこの映画はコメディー要素なんだと確信的な発言するのが「アダム・ドライバー」常習犯だ。(笑)
 ビルとアダムのパトカーで巡回中の時にラジオから流れた曲だ、

ビル:「ん?この曲、なんだっけ?」
アダム:「それはあれ、「THE DEAD DON’T DIE」。スタージル・シンプソンの」
ビル:「スタージル?知らんなぁ、でもなんか聴いたことがあるんだよな」
アダム:「テーマ曲ですからね」
ビル:「テーマ曲?」

 この会話で大きくこの映画の印象が変わった。「あれ、アダム?いまのって?ww」観ていて一気にゾンビ映画の緊迫感からコメディーたっぷりのお気楽映画になった。まるで「銀魂」や「デットプール」のように第四の壁があるのを訴えるような発言をするので終始笑いが絶えない。他にもアダムに限っては山ほど爆弾が仕掛けられてあるから今作の私のお気に入りだ(笑)SWネタはニヤケがとまらないw
 もちろんこの二人だけではない、様々のキャラクターがジャームッシュ監督過去作をアピールするかのように意味ありげに登場するゾンビや町の人々。ジャームッシュ監督作品を全部観てないとわからない部分はあるかと思うが、今のなんか引っかかるなと思う場面はだいたい仕掛けられている。
 けどね、この映画のすごい所はキャスト総勢でネタをぶちかましている割には映画の基盤は崩れていないっていうのもあるけど、それよりもジャームッシュ監督が伝えたいことは凄く伝わった。この映画ではゾンビがしゃべるんだよ、「コーヒ~」とか「WiFi~」、「シャルドネ~」ってうめきながら人を襲うゾンビたち。それは現代の世相を反映している。本来は無個性であるゾンビだが現代で問題になっているスマホ依存やアルコール中毒、最近ではコロナウイルスのパンデミックで起きたマスクやトイレットペーパーの買い占めが起きたが、この映画で例えるとゾンビそのものだ。ジャームッシュ監督は人々の振る舞いが自分の事しか考えられるなってゾンビ化している、そして世界を破滅に追いやっていると思い、今回生前の欲望に従って行動する生きる屍を創り出した。
 確かに、ゾンビは別の異次元から襲来してくるモンスターではない、内側から生まれてくるもの。そう考えるとゾンビは自分自身であり、物欲に溺れて壊れていくのも自分自身なのだ。
 まあ、そんな深く考える映画でもないとは思うけどね。(笑)監督本人もこの映画の事はコメディーだと思っているらしい。キャストでゾンビ役を演じていた方は喜んで引き受けたぐらい監督とは仲良し、ゾンビもユーモアある振付で面白かった。ある意味ゾンビ映画の中で印象的に残る映画であった。

 それと何度も言うけど今回の映画では沢山のジム・ジャームッシュ監督過去作品の要素盛りだくさん!なかには古すぎてわからない!って人もいるはず。そんな人には是非パンフレットを買うのをおススメする!わかりやすく教えてくれているし、ジャームッシュ監督がこの映画に込めた思いが深く書いてあるので読んで損はない!


 久しぶりの劇場映画は楽しく感じれ満喫できた!✨
まだまだコロナが安全とは言えないが、みんなももちろん自分も感染しないよう気を付けて映画館では鑑賞しようね!
 
 では、また次の映画で👋🧟‍♂️🧟‍♀️


2020/No.016
TERUTERU

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