MasterYu

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのMasterYuのレビュー・感想・評価

3.6
世界的ベストセラー作品「デダリュス」の完結編を世界同時出版するために、各言語に長けた9人の翻訳家が集められる。
外部との接触もできず、警備員たちに監視される地下室で作業に取りかかった翻訳家たちであったが、あろうことか冒頭10ページがネット上に流出する。
犯人は出版権を獲得した出版社社長に法外な金を要求してくるが、その脅迫メールは、翻訳家たちの中に犯人がいると示唆していた・・・。

しっかりミステリしていて、個人的には楽しめました。
色んな言語が飛び交うのもまた楽しい。
前半から中盤にかけては少々テンポが遅めでとっつき難い面もあるものの、その辺りは伏線をちりばめるためのセッティングとして許容範囲だったかと。
終盤にかけては一気に畳み掛けるためにテンポアップし、締め括りはその後どうなったのかを想像させる余韻を残したものとなっています。
どうやって?という部分より、何故?という部分に重きを置いていたのが私的嗜好に合致していたので面白かった。
アレックス役のアレックス・グッドマンがヒャダインに似てるとか思ってしまいましたが、まぁその辺りはまったくもって物語とは関係ない(笑)。
「デダリュス」の文章が何回か引用されるのですが、どんな作品なのか読んでみたくなりますねぇ。
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