まめまめちゃん

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

3.7
大ヒットミステリー小説シリーズ『デダリュス』第三弾の翻訳本を世界同時発売するために、9人の翻訳家を地下に幽閉し作業させる出版社。なのに流出し出版社が脅迫される。犯人は翻訳家の中にいるのか、それとも…。

まずこの映画、画がすごく綺麗で、最初から最後までセンスよく趣向を凝らしている。登場人物も程よく浮世離れした感じの9人。出版社社長が醸す絶えずある張り詰めた空気でもって、本作自体がミステリーなのだと気づかされるのだ。そこがオシャレだと思った。

しかし各々のキャラが立っているとは言い難い。連携して何かをする場面もなくはないが、それで物語が進み何かが解決するかというと微妙でもどかしい。

首謀者は割と序盤にわかるのだけど、その真相はラストまでわからない。物語の着地はやや中途半端だったが、全体の雰囲気がうまく落ち着かせたような印象。エンドロールの音楽も良かったし、終わってみたらミステリーのような気がしないオシャレ映画だった。