わたしは光をにぎっているの作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

上映館(8館)

「わたしは光をにぎっている」に投稿された感想・評価

S

Sの感想・評価

4.5
filmarks試写会にて。
『走れ、絶望に追いつかれない速さで』、『四月の永い夢』の中川龍太郎監督の新作。
もっと若いと思っていたら、もう29歳になられていた。2014年にTIFFで上映された『愛の小さな歴史』の時は24歳くらいだったし、実生活で大切なご友人を亡くされた過去を基に作られた『走れ、絶望に〜』は、当時やり場のない感情がぐるぐると頭の中を渦巻き、先のことを考えるのも今この瞬間と向き合うのも嫌、そんな状況にいた私をまさに「しゃんと」させてくれた衝撃の映画だった。

そんな中川監督の新作、『わたしは光をにぎっている』のタイトルは山村暮鳥の詩集「梢の巣にて」より。中川監督自身、元々詩人から映画監督へ転身されているので今作でもその語られる「詩」は野尻湖の美しい映像と共に、言葉としての強い印象を残していく。

商店街の再開発による立ち退き問題等、身近な社会問題をテーマに置く本作の主人公は松本穂香ではない。全体を通して引きや俯瞰のショットが多く、彼女がいる街、そこにいる人、全部ひっくるめた風景そのものがこの映画の主人公だ。

物語は地元・長野県の野尻湖での日々と、下宿先の銭湯のある東京での日々を行き来する。どちらにも共通して彼女の身近に存在する「水」。銭湯の手入れをする彼女の水の扱い方はとても優しく丁寧で、水たちは彼女の手の中できらきらと光り揺れ動く。

上京初日のはじめての銭湯で、天井の角辺りを眺めながら、「あ、あ」と声を発するシーンがある。自分という存在と、建物の生存を確かめるかのような、「呼吸をしていること」を確認する儀式。全体で見たらなんて事のないシーンかもしれないけれど、彼女の人柄が滲み出る、とても優しい場面だったと思う。

初めは松本穂香のうんともすんとも言わない、おっとりしすぎた感じが生理的に無理だったけれど、銭湯での覗き見おじさんに対して荒げた声をあげたときはこんなでかい声出るんかい!とびっくりしたし、少し仲良くなった友達が不倫を開き直って肯定していることに対しても、その表情にはわかりやすく怒りと軽蔑の念が滲み出ていた。
人は育った環境、出会う人によって形成される部分がとても大きい。
彼女はきっととても素直で周りに流されず、だめなことはだめだと、自分のものさしをちゃんと持っている人だ。
彼女が過ごしてきた野尻湖での暮らしを思い返せば、なんとなくそれが分かるような気がした。

人と街のつながり、私たちの居場所、みんなのホーム。
終わり方をどうするか。
行き場のない人たちをどこへ向かわせるか。
「しゃんとしよう」と思った彼女が心に決めて取った行動。その場所を、その場所にいる人たちを、水を、亡くなった命を、生きている命を、自分の身近な人やモノを大切に愛する彼女だからこその終わらせ方に、優しい涙がポロポロとこぼれ落ちた。
2019.12.11 新宿武蔵野館
今年最高の映画。
Hibiki

Hibikiの感想・評価

4.5
光の描写が素敵。
遠めのアングル、詩の音読、本当に素敵でずっとみていたいなと思った。
澪の心情は最初あまり見えないけど、段々と自分の意思をしっかり持っていくところが良かった~
最後じんわりいい感じで終わるところをアヤノちゃんのうたでまたじんわり~
いい映画だったな~
じんわーりエンドロールのカネコアヤノでまたじんわーり
セ

セの感想・評価

3.0
抽象的な東京/抽象的な地元に見えたのが残念。中盤からグルーブしはじめる会話劇と再開発のポスターのあたりに吐きまくるシーンがよかった。
MYOB

MYOBの感想・評価

-
2019/12/27
ワンコ

ワンコの感想・評価

4.5
僕たちの日常
僕は、電線の向こうにのぞく青空が好きだ
電線の向こうの青空が無限に広がってるようだ
そして、
電線と青空のコントラストが好きだ
電線があちこちに張り巡らされ、人と人を結んでるようだ
人の息遣いも運ぶようだ

でも、銭湯や街の小さな映画館のように、
電線はじゃまもの扱いされ、いつかみんな地中に埋められてしまうのだろう

形のある物が失われても、
言葉は残る
言葉は向こうからやってくる
言葉は心だ
そして、心は光だ

言葉は記憶を紡ぐ
そしたら、キラキラした思い出を取り出して、
光る記憶を紡げば良い

皆んなが光をにぎってるのだから

良かった。
澪が湯船のお湯越しに掴む日の光がキラキラしてて印象に残った。
懐かしさと、押し付けがましくなく、ほんの「ちょっと」前向きにさせる作品でした。
Kaz66

Kaz66の感想・評価

3.6
前作「四月の永い夢」がモスクワ/台北 映画祭で話題となった中川龍太郎監督作品。
今作も引き続き 特別招待/正式出品 されている。
主演は松本穂香。助演で渡辺大知/光石研/徳永えり らが静かに支えている。
両親を亡くし、長野県野尻湖畔で祖母と暮らす澪が、祖母の入院をきっかけに東京に出る。
といっても東京での暮らしも、葛飾区立石という昔ながらの下町商店街。亡き父の親友(光石研)が経営する銭湯に居候して、銭湯を手伝うようになるが、その商店街は再開発の為に間もなく区画整理されることとなる。
同じように“終わり”を迎える商店街の人たちと『静かに心通わせる』ドキュメンタリー・タッチの物語。
『最後までやりましょう。しゃんと終わらせましょう。』のシーンが胸を打った。
監督の次作は、「羊と鋼の森」の作者:宮下奈都の小説「静かな雨」を、仲野太賀・衛藤美彩のダブル主演で2月公開。そちらも楽しみです。
ぶん

ぶんの感想・評価

4.0
映像がすごく綺麗。光の描写とか使い方が本当に綺麗だからそれだけでストーリーが分かるくらい。
この監督さんはそういうイメージが強いけど今回はよりそう思った。ストーリーは普通かなぁ。
最後の終わり方この映画ならもっとふわっとおわってもよかったかも。自分の好みだけど…
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