竜どん

わたしは光をにぎっているの竜どんのレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
3.4
引っ込み思案な主人公、人の良い祖母、ぶっきらぼうな飲んだくれオヤジ、軽薄そうに見えて夢を追う若者、皆他のどこかの作品で見たような登場人物達。時代の流れの中で変わることを余儀なくされるという物語も目新しいモノではないけれど、説明的な台詞が極端に排され、心象風景の様に映し出される画面がどこまでも詩的で押し付けがましくなく淡々と流れていく。神々しい光に非ず生活の中に溢れる光が常に差し込んでいて癒やされる。
「変わる」ということには「是」と「非」の両方の部分がある。続いてきた生活・人と人の繋がり・思い出の場所が消えて無くなってしまうのは寂しいことだ。だがラスト新しい一歩を踏み出した澪の後ろ姿の爽やかさに彼女のほんの少しの成長が垣間見え、心に優しく日がさした気がした。
お婆ちゃんの何気無い当たり前の言葉が染み入る。
「見る目
 聞く耳
 それがあれば大丈夫」
今日も心に光を握って頑張ろう。

追記
日本の原風景ではないけど「リトルエチオピア」に集う人達と澪との触れ合いが何か優しくて泣けてしまった。
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