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わたしは光をにぎっているのsingerのレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
3.5

好きな肌触りの作品でした。
やっぱり、こういう邦画が、今の自分のスタンダードなんだなぁというのが、しっかりと確認出来たなぁと、そんな想いが残る作品だったと思います。

淡々とした物語の中で揺れ動きつつも、しっかりと踏み出す、主人公・澪の足取りを見つめながら共感することが出来たし、
変わりゆく街並みの中で、それでも変わらず遺ってゆくものがあって、それは形を変えたとしても、身近に光輝いているのだという事を感じさせてくれましたね。

監督は中川龍太郎。
前作の「四月の永い夢」も、とても好きな作品だったので、
やっぱりこの監督のタッチは、とても自分に合うんだなぁと実感させられました。
特に、風景のインサートカットに、幾つかハッとさせられるものがあったし、
彼が切り取る街の風景や、空や、そこに居る人々など、日常の中で、“生きている”という実感を強く感じさせられましたね。

そして、主演の松本穂香。
最近の彼女の出演作は、わりと良く観ていますが、まだ23歳という年齢にも関わらず、何とも円熟の域に達したかのような、深みのある演技が出来るという所に驚かされました。
彼女の事は、なんかもう、ちょっと尊敬するくらいになってきていて、
もう少し年相応の等身大の少女の役柄があっても良いんじゃないかと思うんですが、
わりと渋かったり、地味だったり、変わってたりと、そんなキャラクターを演じられている事が多いような、そんな印象があって、型にハマらない幅広さを持った女優さんだなぁと思っています。
でも、正直、とても瞳に力があって、可愛らしいなぁと思う所もあるので、
1作品位は、その若々しく瑞々しい、彼女の笑顔が抜群に光るような作品も見てみたいなぁとも思うし、
惚れた腫れたの純愛物のヒロインなんかも、いつかは演って欲しいなぁと思ったりもしていますね。
でも、今作での彼女の演技は、そのキャリアの中では1番良かったんじゃないかと思うし、これからが益々楽しみになってくような、そんな存在感を感じる事が出来たのは、とても良かったです。
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