キャサリン子

わたしは光をにぎっているのキャサリン子のレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
4.0
映像や音が美しく、良くも悪くも余韻が残る作品が好きな私にはビンゴだった。
決して、なにか大きな出来事が起こる「面白い映画」ではない。
淡々と進むストーリー展開に、退屈に感じてしまうかも。
ちょっと観る人を選ぶような作品だと思う。

けど、繊細なタッチで描かれる何気ない日常、織り込まれる野尻湖の美しい風景、昭和を彷彿とさせる東京の下町の風景に引き込まれてしまった。

時代とともに消え行く銭湯と単鑑映画館。
再開発のため姿を消す昭和の飲み屋街。
いろんな意味で今の日本を象徴しているように思えて、たまらなくなった。


後半からのラストシークエンス、芸術点は個人的に満点でした。
映し出される映像のワンカットワンカットに、「なぜかわからないけど涙が出た」という人、たくさんいると思う。


カタチあるものはいずれ消えてしまう。必ず、終わりが来る。
けれど、どうやって終わるのか、終わり方が大切。
人生も同じ。


良い映画を観ました。
キャサリン子

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