ケイスケ

クロール ー凶暴領域ーのケイスケのレビュー・感想・評価

クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)
4.2
「本来、映画はこういうのでいいんだよ。こういうので」と井之頭五郎の台詞が出てきそうな本作。面白かったー!

アレクサンドル・アジャ監督の作品は大好き。特に『ヒルズ・ハブ・アイズ』は本当に大好きで繰り返し見ているほど。資料映像で実際の奇形児が出るため、倫理観についての是非や好みは分かれると思いますが未見の方はぜひ鑑賞してほしい作品。

予告を見た時点では「台風で家に取り残されていたら更にワニまで侵入!」というバカみたいな触れ込みだったため、ちょっと半笑い気味でした。まあ、そういうバカ映画も好きなんですが。しかしアジャ監督の名前を見た瞬間にその半笑いは払拭!これは何か更なる要素があるぞと確信しました。

その予想がまさに的中!この台風とワニに加えて、父と娘の家族愛が描かれておりこれが素晴らしい!主人公のカヤ・スコデラリオが出てきた瞬間「あ、この子好き!」ってなりました。『メイズ・ランナー』とかに出ていた女優さんですね。

この父と娘によるワニとの攻防戦が良く出来ています。巨大なワニだからこその地下室の狭さを利用した撹乱は見事だし、カヤちゃん演じるヘイリーが強すぎて素敵。ワニに腕を噛まれながらも、口の中に銃弾を何発も撃ち込む姿はシビれる。ワニより早く泳いだり絶対ただの女子大生じゃないだろアンタ!

さらにワニよりも怖いのがハリケーンによる洪水。地下室にどんどん水が溜まっていくため、タイムリミットの要素も盛り込んでいます。後半に脱出できたと見せて更なる絶望感が襲ってくるのが最高。家のセットをくまなく活用する作風は、本作と同じくサム・ライミが製作に携わっていた『ドント・ブリーズ』にも通じますね。あの映画も面白かった。

不満なところは主人公と父親以外の登場人物が完全に殺されるためだけに出てくるところ。もちろん余計なキャラはいらないんだけど、少しでいいから1人くらい助かってて協力する場面が見なかった。あとワンちゃんがそこまで活躍しなかったかな…。2人の脱出を手助けするのがもう少し欲しかったかも。

ただ文句なしにオススメできる作品です。B級感はありますが、家のセットやハリケーンによる被害描写などVFXはなかなかのものでした。やっぱりこういう映画を映画館で見るのが一番楽しいんだよな〜。