真っ黒こげ太郎

マイ・スパイの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

マイ・スパイ(2020年製作の映画)
4.5
言っとくけどド派手なアクションは冒頭とクライマックスにしかないぞ!!!w

まぁ、偶にはこういうほのぼのとした内容の映画を見てもええじゃないの。



戦闘力と腕っぷしだけは一人前な、元特殊部隊で現CIA所属のゴリマッチョエージェント、JJ。
今日も今日とて核兵器製造を企む悪党共をぶっ潰すが、情報持ちの敵を全員殺ってしまったことから、上司に「スパイに向いてねぇよお前!」と怒られてしまうのだった。

そんなこんなで、最後のチャンスとしてある一家の監視任務に当たることになった。
何でもその一家のシングルマザーがテロリストの男の義姉だとの事。
だが、一家の一人娘のソフィに監視してることがバレてしまう!!!

スマホで撮られて弱みを握られてしまったJJ。
ソフィは秘密にする代わりに、学校行事の参加やスパイになる方法の伝授を要求してきた。仕方なく要求を呑むJJ。
だが、コミュ障気味だったJJは孤独な少女のソフィの間に友情が生まれ、ソフィの母親とも親しくなってゆくのだった。



マッチョスパイと少女とその一家の絆を描いたスパイ・コメディ。
コメディ映画を数多く手掛けるピーター・シーガル監督の最新作。


自分はそこまで進んでコメディ映画は見ないし、シーガルさんの作品も「ロンゲスト・ヤード(2005)」と「リベンジ・マッチ」しか見てないのだが、どちらも好感を持っているのです。
(「ロンゲスト・ヤード(2005)」は燃えとエンタメを両立させた傑作だし、「リベンジ・マッチ」はあっちでは大コケ&酷評されたみたいだが、俺的には快作。)

その監督さんが近年人気上昇中のデイヴ・バウティスタさんと組んでアクション系映画を撮ったと聞いたら、こりゃ見ないワケにはいかん!!ということでレンタル。



そんなこんなで見たのですが、実際の内容が見る前に予想してた内容とかなり違った!w
というのも、今作はアクション要素こそありますが、そちらは物語の味付け程度に収まってるんですね。
では今作のジャンルは何かというと、脳筋気味なマッチョマンと孤独…だけどやたらハイスペックな少女の友情を描く、ほのぼの家族系コメディだったのです!w
所謂、人気が出たアクション俳優が出演した子供絡みのコメディ映画的な、本作は正にそういうテイスト。
(「ダブル・ミッション」とか「キンダガートン・コップ」とか)

まぁ過去に見た2作がコメディ系の作風だったのでそういった要素があるんだろうと思ってはいたけどね。でもここまでほのぼの比率が多いとは思わなんだ。
アクション自体はあるけど、「おお!バウティスタはんの新しいドンパチ映画や!!」と思って借りると豪快にコケる事になると思うので注意!!!
(間違えて借りてもうた人がガックリしないか、他人事ながら心配になった。w)



でもそれを差し置いても本作はほのぼの家族のコメディ映画として面白く見れました。

基本的には少女に振り回されるマッチョ男のベタなドタバタ劇だが、ぼっち気味だった2人が何だかんだの交流を得て友情を育んでゆくのがいい。
そして少女のお母さんとマッチョ男も良い感じの中になってゆき、徐々に皆が”家族”として纏まってゆく過程をおバカを挟みながらもしっかり描いてます。
とは言え、おバカコメディなので武闘派マッチョと庶民派な登場人物のギャップコメディも描かれていて肩の凝らない作り。
ベタな内容ながらお話の急行のしっかりついてるし、コメディセンスも中々。登場人物のキャラもしっかり立ってる。
前半のお気楽なコメディや後半のシリアスな展開のメリハリもしっかりしてるし、盛り上がる展開もしっかりと盛り上がります。

アクションは最初に言った通り冒頭とクライマックスに集中。
数は多くないし、アクション演出自体は並ではありますが、クライマックスの戦いはドラマの相乗効果も相まって盛り上がります。
(個人的には共通で展開されるカーチェイスやナイフで旅客機の離陸を阻止する場面が中々良かったです。)


そんなこんなでほのぼのながらもほっこりと楽しめる本作。
展開に少々無理のある所があったり(特にCIAであることをバラす後半のシークエンスは必要だったのかなぁ。)、悪党側が空気レベルで影が薄かったりする等の気になる点はあったりするが、基本楽しかったので問題なし。

派手なドンパチやマッチョヒーローのハードなアクション映画を期待したら肩透かしを食らうかもしれませんが、誰が見ても幅広く楽しめる、万人にオススメできるコメディだと思うので、興味のある人は是非どうぞ!

シーガル監督はコメディを描きながらも、しっかりしたドラマや燃える展開を描いているので好感が持てますね。
これからは監督の事、応援しようかな。