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パラサイト 半地下の家族のマングースOLのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.3
🖋あらすじ
全員無職だけど、仲はいいギテク家族。長男ギウに名門大の友人が紹介してくれた高額な家庭教師の仕事が、久々にできた唯一の固定収入。家族全員の助けと期待の中で、パク社長の家に向かうギウ。グローバルIT企業のCEOであるパク社長の邸宅に到着すると、若くて美しい奥様ヨンギョがギウを迎えてくれる。しかし、このように始まった全く正反対の2つの家族が出会ったあとには、止めることのできない事件が待っていた──。

“ 幸せ、少し、頂きます ”

🖋一言コメント
鑑賞後は三日ほど、この映画のことが頭から離れなかった。吐きそうだった。
前半はコメディ調、後半から急加速な展開で一気に雰囲気が変わるのが印象的なこの作品。話題になっているからといって軽い気持ちで観たら大火傷を負うことだろう。

🖋感想&考察 ⚠️ネタバレ注意⚠️
解説については、様々なサイトやYouTubeの動画などで細かく解説しているであろうから、単純に感じた感想を述べていく。
まず、前半ではただ「面白い」という理由で惹き込まれる。次々と嘘をつき、どこか抜けている金持ち家族に取り入っていく様子はまさに圧巻。コメディタッチで爽快に進む計画、下克上とも言える金持ちへの復讐めいた寄生に笑いが止まらない。しかし、後半になってその雰囲気が一転、自分たちが追い出した家政婦が帰ってきたと思えば、屋敷の中の地下の存在が明らかになる。
そこからは一気に息をつく暇もないほどのサスペンスが始まり、今まで計画通りに進んでいたはずの作戦の破綻が始まる。半地下よりも更に下、完全な地下にも人がいたという事実。
恐ろしかったのは、自分と同等、もしくは自分より下の人間に対する態度の差である。一見すると「味方」にもなり得そうな二つの家族だが、対立し、結局その事態を悪化させてしまうことになる。
何度も出てくる「臭い」というワードについても、色々考えさせられる。見た目をどれだけ着飾っても、嘘で塗り固めても、臭いだけは決して消えない。また、ギテクが最後にドンイクを殺めてしまった決定的理由も、彼が臭いに顔をしかめる姿を見たことで我慢できなくなってしまったからだ。
そして、この映画の良さを皮肉にも際立たせるのがギジョンの死だ。聡明で才能もあり、この寄生生活にも溺れることなく逞しい印象を受けた魅力的なキャラクターが最後に死んでしまう。誰よりもパク家に馴染んでいた彼女だけが不運にも死んでしまうこの不条理さ。この救いようのないラストが、今の韓国の深刻な格差社会の問題を表現してるとも言えよう。
ギウは最後の独白で、またしても計画を立てる。彼の状況から考えても、その計画が成功する可能性は極めて低い。それでもそうして夢のような計画を立てていないと生きていけない、その現実が何よりも虚しく悲しい。
鑑賞した後のダメージは計り知れないが、是非とも一度は観て欲しい作品だ。