社会を悪と見立て思考停止しては益々社会から遠去かり、卑屈に満ち溢れながら地下生活に埋没する。
社会とは単なる現象で有り現実でしかなく、社会が悪なのではなく犯罪をする者が悪でしかない。
中盤まではトントン拍子に都合良く進み過ぎることに違和感を感じてしまうが、それが程よいコメディ感を増幅させ感情の雪崩れで一気に結末を包み込む。
歪んでいるのは半地下の人間でも地上の人間でもなく、結局どちらも社会に寄生しなければ人間は生きては行けない。
地上が善で地下が悪と言う訳でもないく立場はいつ入れ替わってもおかしくはないが、世の中には社会を拒絶し自ら望んで地下に住み着く人間もいる事は確か。
望まない地下生活はココロの奥底に眠る暗部をひた隠しながらも、闇社会に生きるこの映画の中の家族は妙に楽しそうで生き生きして気持ちが悪い。
物語の本質はいつの時代にも表裏社会で目新しいものはないが、構成力と表現手法は1つの現代社会に媚び擦り合わせ評価される理由は理解する。
只、個人的には社会風刺を効かせた安っぽく貧相なコメディにしか見えずリアリティも薄く、好みの構図も描写も創造性も全くなく時代性に救われたことは否めない。
日本なら『万引き家族』のように静かに慎ましく罪を犯しながら生きるのか…、共通するのは〝ズル賢い家族〟の生命力は下劣で凄まじい。
いずれにせよ全く共感出来ないが、地下人間が存在している事は思慮に思慮を深め重ねる。
しかし人と接触せず完全自立で自給自足するなら話は別だが、ウイルス同様に人も誰かに寄生し共存しなければ生きてはいけない..★,