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パラサイト 半地下の家族のslowのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ポン・ジュノを観た。
これ程画面を縦(上下)に意識させる作品はあまり観たことないかもしれない。ここにある問題は世界的に広がり続けるものと同じ。降りしきる豪雨はそれをより可視化させる装置で、高級住宅地から家族諸共押し流すように坂道と階段を流れる汚水はインパクト十分。インディアンという地雷や、ずっと画面にあったものがラストへの引き金となるのも面白い。それは『インセプション』のキックのように覚める合図(ここでは尊厳の貶めのようなものかな)となるもので、段々と、沸々と、腹の底に眠っていたものを呼び起こし、バースディパーティーが白昼の地獄絵図と化すラストは流石の韓国クオリティ。これ所謂どんでん返しが凄い作品という感じではなくて、衝撃だけの色物でもなくて(まあ衝撃的ではあるけれど)、鑑賞後に構成や匂わせ方(色々な意味で)の巧さが冴え渡っていたという印象や画の引力が強く残ることから、やっぱり韓国映画は素晴らしいレベルにあるんだなと再確認させられた。それは才能ある映画人が豊富にいるというよりは(いるけれど)、国のバックアップが大きいのだろう。対世界を意識したエンタメコンテンツにおいては、日本と大きな差を感じずにはいられなかった(賞レースにおける様々な噂にはこの際目を瞑る)。あと個人的に家族が庭に出てくつろぐシーンが『しとやかな獣』の団地で踊り狂うシーンに似ているなと。ちょっと狂気じみた雰囲気も手伝ってそう感じたのかもしれないけれど、この感じを今出せるって凄いな。
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