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パラサイト 半地下の家族のjuriのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.8
ポン・ジュノ監督の映画は何作か見ていますが素直に好きと言えるものはないのと、フィルマークスでの評価もまちまちなので鑑賞に少し時間がかかってしまいました。

結果としては、想像してたより暗くなくてよかったですよ。「母なる証明」くらい落ち込むかと身構えていたので。笑
そう考えるとバランスがいい映画だなと思いました。

キム一家が貧困なのは分かったけど、序盤はその境遇をそんなに悲観していないのかなあと思いました。特にソン・ガンホ演じる父親は穏やかな性格で、むしろ今の生活を楽しんでいそう。雇われ先の金持ちのことを「金持ちなのにいい人だ」とか言っちゃう。いや、そんな貴方がいい人、純粋無垢ですよ、と見てるこちらが切なくなっちゃう。

そんなキム氏が偶然聞いてしまった悪口で自分が惨めに感じるようになり、雇い主へのヘイトを募らせてゆく。
短い時間だけど表情がハッとするほど違う。
ソン・ガンホ、流石ですね。

みなさんはどう思いますか?
キム氏は無計画のまま生きていれば幸せなまま死んでいけたと思いますか?そしてあのラストはハッピーエンドなんでしょうか?

語る人の立場に寄って正義も悪に、悪も正義に変わることでしょう。
ポン・ジュノ監督はなんていうかこう、いつも問題提議のフレームだけ作って結末は我々に任せるという物語を作る印象があります。

正直言ってそれほど好きな作品ではありませんが、役者さんみんなお上手なのと、アジア人なのでより感情移入がしやすくて近所で起こったニュースを見たような不思議な親近感に包まれてしまいました。
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