韓国産半地下サスペンス(？？？)
SNSで何者かの下半身が横たわった広告画像が出回っており、おどろおどろしい惨劇が繰り広げられるのかと戦々恐々で視聴。これまでの韓国映画が『悪魔を見た』だの『OLD BOY』だったものだから尚更韓国怖い。
しかしながら実はこの作品、中盤までは視覚的娯楽性に富んでいる。芸術家が設計したという建造物は画面の奥行きを強調するだけでもだまし絵を見ているような感覚に陥るが、その感覚を強調する人間の移動も見事。
事件が転換点を迎えるまでの物語はコメディ風。冗談かと思うくらい主人公一家に騙される寄生先の奥方。トントン拍子にパラサイトは進行していき、一家はこの世の春となる。
が、この奥方の騙されやすさはよくよく考えてみるのなら、地下室の住人達への無関心が要因なのではないかと富裕層側の傲慢が垣間見える。
この作品は社会風刺である
半地下のにおいという単語は寄生先の一家と主人公一家の軋轢を示す、わかりやすいワードとして映画の中に存在する。寄生先の主人であるパク社長はそのにおいに嫌悪感を示しつつも、ついぞ主人公一家の正体にたどり着くことがなかった。また主人公一家も自身のにおいという契機から、地上で日の当たる場所になじむ富裕層の生活に違和を覚えていく。
別に富裕層に一矢報いるのだとか、そんな怨嗟の声があるわけではない。ただそこにあるのは貧困層への富裕層の無関心だ。他人である四人からまったく同じにおいがするというのに、それに誰一人として真実に気がつかないというのがその証拠だ。無関心と生理的嫌悪、それが今の富裕層と呼べる人々の内心だと暗示している。
ギテクの計画論を反芻してみると、ラストのギヴの無表情にどうしようもない悲哀を感じてしまう。こういった痛切に訴えてくる感情表現はさすが韓国産映画だ。
