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パラサイト 半地下の家族のmitoのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.2
2020年3本目。
ポン・ジュノ監督最新作にしてカンヌ映画祭でパルム・ドールに輝いた作品。

半地下の家に住む貧しい一家、長男が親友の代わりに引き受けた資産家の娘の家庭教師。
ここから、貧困一家による資産家家庭の掌握が始まる…と思いきや…。

とりあえず、去年の先行公開に行ってたら、去年の映画ベスト10に間違いなく入れていた、それくらいハマった。

ここ数年多い、世相の風刺色の強いブラック・コメディ。
前半の分かり安い乗っ取り計画から一転、後半はブラックな要素の方が強くなっていき、最後には全てを掻っ攫う衝撃展開へ。
兎に角、無骨なイメージのある韓国映画でありながら、資産家の家を筆頭に計算された見事なビジュアル、ヨーロッパ映画かと勘違いしてしまうようなストーリーテリングに「あれ?ポン・ジュノってここまで洗練された映画を作る人だったっけ?」という変な方向の感動を覚えた。
あのラストの曖昧な結末故に残る余韻もポン・ジュノ、ひいては韓国映画らしい。

先述の通り、階級や経済的格差を取り扱う側面上、アスやJOKERが引き合いに出される本作。
アスと比べると、経済という世界的な問題に集約した分、共感性が高くなった(アスは人種差別を皮肉ったりと全方位に喧嘩売ってる感が個人的に少しだけ苦手だった)
JOKERと比べると、コメディ色が強く追い詰められるピリピリ感が緩和されている。

総じてお手軽な映画…なんだけど、あるポイントから一気に社会的主張に舵を切る。
この塩梅が自分に恐ろしい程マッチした。

個人的ベスト韓国映画の「オールド・ボーイ」「息もできない」に匹敵、凌駕する作品。
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