コメディとかミステリーとかの区分けを跳び越える流動性、個々のキャラクターやエピソードの強烈さ、分断された社会が生み出す軋轢の巨大さなど、強く脳に刻印される(わかりやすい)エンタメ作。その点は面白く満足。
一方で、登場人物がみんな強い人ばかりなので、誰に対しても気の毒だとか応援してやろうだとかいう気持ちにならない。家族の愛情などの人と人との絆も、ひんやりして乾いているので感情移入する余地がない。
この強くて冷たくてドライな感じは好みを分けるかも。私は、2つの家族が暮らす家は両方とも「あんな家には住みたくない」と思ったが、もしもあのお屋敷に憧れを抱けていたら、作品をより面白がれたかもしれない。