タマル

パラサイト 半地下の家族のタマルのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
5.0
えっ・・・私、映画にスコア5.0つけすぎ・・・?
関係ぇねぇよ、シバラマァ!!

以下、レビュー。


韓国映画界を代表する巨匠、ポン・ジュノ。
『殺人の追憶』、『母なる証明』などの社会派ドラマの傑作を手がける。しかし、その内容はジャンル分けが難しいものばかり。ある時はコメディ、ある時はサスペンス、アクション、ヴァイオレンス、風刺劇、ホラー、ハートフルドラマ。7つぐらいの顔を持つ映画。しかしてその実体は・・・「ポン・ジュノ映画」という何かなのである。「笑えるし、ドキドキするし、最高じゃないっすか!! 」 なのである。

さて、本作『パラサイト 半地下の家族』。
映画はソウル市の、ある「半地下」の一室から始まる。「半地下」とは、半分だけ地上、半分だけ地下の状態に位置する住宅のこと。イメージとしては、『マルコヴィッチの穴』の7と1/2階を想像してほしい。半密閉状態で湿気もすごいし、窓を開けたら開けたで、地面をつたって水が降ってくる。靴下もろくに乾かないのである。
こうした劣悪環境で暮らすキム一家。当然、ここから抜け出すプランが欲しい。しかし、全員失業中のため、なんの展望もなく、お先真っ暗。
そんなある日、長男キム・ギウは友人のミニュクから金持ちのパク家で家庭教師をしてみないかと持ちかけられる。早速、大学の入学書類を偽装し(⁉︎)、大学生のふりをして面接を受けにいくギウ。坂道を上がってパク家に着いてみると、まぁびっくり。

ちょっとした公園ぐらいある、自然豊かな庭。
そこで暮らせるんじゃないかレベルのエントランス。
100LDKぐらいはある立体的な居住空間。
当然、2階に私室あり。2階は2階で廊下が100mぐらいあったりするからたまらない。

規格外すぎる金持ちぶりに愕然としながらも、ギウは持ち前のアドリブ能力で、娘のパク・ダヘ及び頭の弱そうな母親(役の話ですよ?)のパク・ヨンギョに気に入られる。そこで彼はあるプランを思いつき……という社会派コメディ。

個人的にポン・ジュノをすごいと思う点は
「タイトルと概要以上の『嘘』をつかない」というところだと思うんですよ。例えば、この映画は「地下で暮らす貧困一家が高台の上の豪邸で暮らす裕福な一家を欺き、彼らに寄生しながら生計を立てていく話」なわけですが、この設定以上の「嘘」は出てきません。あくまで画面の向こうの彼らは私たちと同じ存在であり、私たちに起きうることや私たちがしうることをしているだけです。それでも映画が劇的であり、スペクタクルに感じられるのは、ひとえにポン・ジュノの演出力・テリング技術の高さだと思うのですね。そして、それこそが監督の「監督」たる所以なのではないでしょうか。ポン・ジュノの手際の良さを見るにつけ、目を覆うような凄惨な拷問を、演出力・テリング技術によって(絶対に認めたくないけど)「ファニー」にしてしまった、ミヒャエル・ハネケの『ファニーゲーム』を思い出すのは、多分私だけだと思いますが。
今回はストレートな社会批判でメッセージもわかりやすいのだけど、感情を打ちのめされてしまってどうしようもないという。変な境地に連れていかれてしまうというか。嗚呼、芸術っ!!! て感じでしたね。とにかく見てください!!

余談だけど、劇場を出たら、ちょうど向かいのスクリーンでやってた『カイジ ファイナルゲーム』も終わったみたいで、向かいの劇場から人がぞろぞろ出てきたんですね。なんかちょっと笑っちゃいました。あっちは命がけのゲームして10億円ももらえるのか。現実もそうだったらどんなに楽だったかなぁ。。。

悪魔的だぁー!!><



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