早くも今年のベスト候補が現れました。
各所の絶賛や受賞も肯けますし、アカデミー賞に国際映画賞だけでなく作品賞にノミネートされたのも納得の傑作です。
「アス」や「万引き家族」などと同じく貧困家庭や富裕層と貧困層の断絶を描いています。
今作の素晴らしいのは結構笑える所です。
社会問題を描いた作品はどこか真面目というか大上段から正義を訴えて辟易する物も多い中、このユーモア感は素晴らしいです。
裕福なパク家に徐々に入り込んでいくキム一家のキャラが素晴らしく思わず応援してしまう前半部がまず面白いです。
ネタバレを食らう前に絶対に観に行った方が良いので説明はできませんが、この前半あっての後半の怒涛の展開は凄いの一言です。
現在の日本でも全くの他人事ではなく、名前だけの個人事業主が搾取されていき、本来なら連帯し共感し合わなければならないはずの庶民層も自己責任論が蔓延して断絶しているのは暗澹たる気持ちになります。
富裕層のパク一家も決して悪人ではなく、というよりかなり善人、問題は社会や他者に対する無関心だと感じさせられました。
終盤の展開でソン・ガンホ演じるキム運転手だけが他者と自分の立場を重ね合わせて考えられたからこそ、あんな事になってしまったと考えると胸に刺さりまくります。
エンディングも素晴らしく、鑑賞してからしばらく経ってもまだこの作品について考えてしまいます。
映画好きならもちろん、そうでなくても今現在マストで鑑賞すべき作品だと思います。