柏エシディシ

パラサイト 半地下の家族の柏エシディシのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.0
リスペックト!ポンジュノ!!
面白すぎるけれど、面白がってもいられない劇薬の様な映画。

下層階級の人間が上流階級の中に身分を隠して紛れ込んでいく、という割とお馴染みの定型で進む映画前半に関しては、彼の国特有の文化やユーモアを感じながらも、パルムドール、オスカーノミネート確実の前評判ほどでは無いかなぁ〜と呑気に思いながら観ていた。
しかし中盤、留守宅の酒宴辺りで物語が変調して映画が加速していってからは、客電がつくまで圧倒されっぱなしだった。呆然。
台詞や小道具、セット。映画のはじまりより、何気なく配置されてきた全ての要素に、意味が、メッセージが帯びていく。映画の理想系というか完全体というか。
そうか、ポンジュノの映画っていつもそうだった、と思い出した。
「きっとこの映画はこういう映画だな」という此方の見立てを軽やかにかわし、最後は観客を思いも寄らなかった地平に導いていく。

しかし、ただ良く出来ている映画であるならば、幾らでもある。
本作はポンジュノが近年の作品で繰り返し描いている、世界や社会に対する懸念を、遣る瀬無さを、今までのどの作品よりも力強く観客に打ち込んでくる。
それを可能にしたソン・ガンホをはじめキャスト陣は勿論素晴らしい。
誰しもが思うであろう「万引き家族」「us」ケン・ローチ作品とのシンクロ二ティ。
変容してしまった世界と、その脅威に晒される家族。
その主題に、世界中の多くの人が共鳴している。
現実が映画を創るのか、映画が現実を変えていくのか。
そんな思索も大仰には思えないほどパワフルな傑作だ。