キム一家は家族全員が失業中で、半地下の住まいで貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOパク氏の長女の家庭教師をすることに。やがて妹ギジョンも、兄に続きパク氏邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく(公式HPより)。
韓国映画を比較的好んで見ている側からすると本作はこなれ感があって、私的に好みの韓国映画の癖は程々に抑えられている。世に出るために？そうする気持ちはよくわかるし少し残念でもあった(あくまで個人的に)。いつものじゃない感じはCJ entertainmentのBGMがなかったり、エンドロールが英語だったりというところにも感じられるのだけど。
ただ韓国映画にしか見出せない表現が残してあった。それはニオイ。
土壁とブロック塀に囲まれた獣道だったり、誰が住んだかわからない山の中だったり、国籍も異種混合な泥まみれの列車内だったり、土砂降りといった韓国映画のどこからかいつも漂うような独特の空気に伴うニオイのようなものがあるのだが、本作のテーマはまさにそれだ。いつのまにか染みついて自分では気づかないし、それを消すにはとてつもない努力を伴うニオイ。さらにそのニオイが圧倒的な格差を想像させる。脚本と演出によるその表現は少々ダメ押し感あれど、やはり素晴らしいと思った。
さらに顔は好みじゃないんだけど、やっぱりソンガンホの顔力。カメラが彼の顔に寄るクライマックスの彼の表情はいつも凄いと思ってる。有名なところで「殺人の追憶」のラストとか、「タクシー運転手」や、「麻薬王」の一線を超えた瞬間の表情も凄かった。なんて微妙に複雑に入り混じった表情を作るのだろうと、これが人間なのだと感服する。
馴染みな部分もそうでない部分もうまく入り混ぜて結果132分があっという間。楽しかった。韓国映画から今年も目が離せない。
