ぐち

パラサイト 半地下の家族のぐちのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

こんなにも向き合いたくない社会のリアルとそれへの批判を扱っておきながら、こんなにもエンターテイメント。ポンジュノ監督すごい…

一番精神にクるな〜〜〜と思うのが、金持ち家族が嫌な奴らじゃないこと。
彼らは主人公家族が「金持ちだけど嫌味のない良い人だ」と言うくらい、たまに少し相入れない事がある程度の、特別善良でも悪質でもない普通の人々だ。
しかもその彼らを害するのが「頭のおかしい狂人」ではなく今まで観客が何となく肩入れしていた主人公家族の父親だということ。
「気に食わない嫌味な金持ちをキレた貧乏人が殺す」という単純な構図にしていないところがすごい。つらい。

父親がキレる瞬間のキーワードが「匂い」だけど、この匂いの使い方が絶妙。
お互いのことを一定の範囲で認めていても越えられない壁。見えない障害。決定的で絶望的な差。の、象徴として扱われている。
自分では気づかない、けど階級の違う者からすると無視できない「匂い」
違う場所に住む者だとこんなにも突きつけられるアイテムはないと思う。

金持ち夫妻は彼らの「匂い」を叱責したり嘲笑したりはしない。
多分運転手であるキム・ギテクもわかってる。
だけど我慢ならない。どちらにとっても。
なんて絶望的な「差」だろう。こんなにも相入れる事ができない。

最初は韓国版「ジョーカー」みたいなものかなと思ったけど、その点において「ジョーカー」とは違うのかなと思った。
パラサイトは個人の性格や資質がどうであろうとこの結末にたどり着いてしまうという意味で、より社会構造の欠陥が浮き彫りにされる。抗い難い不可避の力を感じてつらい(ジョーカーはジョーカーで違うことを描いているという意味で比べられるものではないけど)

最後まで妄想なの、ポンジュノ〜〜〜〜〜〜って感じだったな
ぐち

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