ルイまる子

パラサイト 半地下の家族のルイまる子のレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
5.0
従来のポン・ジュノ監督『殺人の追憶』等のどす黒い人間の心の奥底を掘って掘って人々の目前に叩きつけるみたいなタッチの映画かと思っていた、ガンホさんが主演だし。私はポン・ジュノ監督映画が好きで好きでたまらないのですが、本作はそれほどディープでもなく軽いタッチでした(見方によっては重いと感じる人もいるかもしれませんが)。なんせ展開がスピーディでワクワク感の超エンターテイメントに仕上がっております。海外で受ける理由わかる!セリフの最後が常に英語になっていたし笑

喜劇でもあり恐怖あり親子の深い絆あり。韓国ドラマ映画お得意の貧富の差への強い批判が土台になっており、脚本がしっかりとしていてもうすごい!小道具とかも見事としか言い様がない!ガンホさんはもう言うまでもなく素晴らしいが、あの名役者陣が素晴らし過ぎる。ガンホさんの演技が神業で重くなりがちな所を息子のギウ役チェ・ウシクくんが軽減してくれる。あの軽さ植物系(草食系)B型的な佇まいが最高!大ファンになりました。オンマもそれから目の細い娘のギジョン役、パクソダムもいいなー田中裕子さんに似てました笑 

【ネタバレあり】

あの石が最初に出てきてこれがいずれ凶器になるんだろうなと予想した人は居たかな?いや居ただろう。私はもうあの石見た途端にああ、これで頭かち割るのかな、、などと危ない予想をしていました笑 

インターネットのwifiが繋がらないシーンから始まる。貧乏だけど息子と娘はお金もない、無職だからほぼ日がな一日インターネットでお勉強を積んでいて、それらが後々役立つんだな。特に映画の中では言ってないが、大学行かなくても専門家レベルの知識を得る事が出来るのだ現代では。むしろ他にやる事がない分、貧乏だからこそネットに一日中張り付き得れる知識量無限大なのだ。

水害で半地下の家が水没し絶望的。しかしギジョンはトイレの一番高い場所に座り屋根の隙間に隠したへそくりとタバコを取り出しゆっくりと吸う。長女の姿良かった〜彼女は頭が切れるし何もかも良く承知している姿が実に泣ける。中流の家庭ならば今頃上級の大学に進み良い仕事に就いてバリバリ仕事していたことだろう。お父さんに計画しろ、と言う。そして胸を刺された所を抑えたら痛いんだよ、と父に教える。お父さんは計画しない方が良い。計画通りになんて行った試しがない。その通りだね。しかし娘の賢さをお父さんが持っていればひょっとしたらマシな人生だったか、、いや、キム運転手も超有能でした。カーブでもコーヒー揺らぎもしなかった(頭文字Dかっ?)、だから一家皆有能。貧乏は構造的なものが理由でしたね。

又、豪邸の地下に残して来た夫婦も彼女が一番気にしていた。なのに。。残酷な。。涙


キム運転手はかなり危ない事も言うが、ギリギリの線を超えない所がいい、と社長は褒めていたけど、最終的にはその線を越してしまうんだな。臭いがこびりついている件で。自分の貧乏を恨んでも自分がどんな臭いを発しているのかは分からない、そして今更その臭いを消すことも出来ない、その深いコンプレックスを刺激されてしまい社長を刺す。

社長夫婦を決して嫌っていた訳ではなくイノセントでかわいい奥さんだし、彼らをびっくりさせ傷つけたくないと会話の中で言ってたよね。だから彼ら家族を憎んではいなかった。しかし、イノセント過ぎるというか現実を全く知らなさ過ぎるのは罪ですよね。あれだけの水害があっても平気で空が晴れてるからガーデンパーティーをしましょう等と能天気過ぎる。社会構造、貧富の差と言っても、富裕層はもっと下層の人への思い遣りがあればあんな結果にはならなかったかも。

もう一度見たらもっと深く理解出来るだろう。会話のやり取りの中に小物にもあらゆる場面にもっと深いメッセージが込められているようには思います。それにしても、アカデミー賞決定かもしれませんね!素晴らしい!

ParasiteではなくParasiteSと複数じゃないのか?という指摘を見たが、その通りで、一人の時はパラサイト、二組居たからパラサイツですよね笑
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