B5版

パラサイト 半地下の家族のB5版のネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

はー、面白い…
語りたい視点がたくさんある映画だ。それでいてこれ以上言うことがない気もする。
全編にわたりテンポ良く、登場人物を絶妙にヘイトさせない。
陰惨な現実社会の下敷きがありながら最後まで飽きの来ない目が離せない作り。圧倒的完成度…

役者陣も総じて上手い。
特にソン・ガンホは「殺人の追憶」から静の演技の名手とは存じてましたが、今回も凄い。
朴訥なさえない表面に走る瞬間の感情の不穏さ。
今作中盤、"臭い"という自ら変えようのない指摘を突きつけられ、貴賎の境界を悪意なく暴かれる場面の表情は、能面のそれでありながら強烈で、心が抉られるものがあった。

富めるものには決して降りかからない悪臭と濁水が、
誰のもとにも降り注ぐ太陽が照らす幸福の象徴の人々が、コントラストの様に相反する。
なにもかも憎らしく、なにもかも満たされた人間達の混濁した合流地点で迎える最高潮。
凄い作品を観たという高揚と、見せつけられた虚しさをあと1週間は引きずることになりそう…

一種の喜劇的おかしみをまとませつつ、一方で底無し地獄の現実を精巧に踏襲する。
社会への忖度ナシ喜劇マシマシワールドのプロフェッショナル、ポンジュノ監督。
いやこれはアカデミー賞、期待しかない!
B5版

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