ゆめちん

パラサイト 半地下の家族のゆめちんのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.0
パラサイト 半地下の家族
 
カンヌ映画祭でパルムドールを受賞し、アカデミー賞にも数多くノミネートされているのも納得の作品でした。
韓国映画を1度も観たことがなく、なかなか足が向かいませんでしたが、もっと早く鑑賞すればよかったです。
 
キム一家は失業中で、半地下の住宅でその日暮らしの貧しい生活を送っていましたが、そんなある日、友人の紹介で兄ギウが大企業のCEO宅の家庭教師に。妹ギジョンも兄に続いて美術講師として裕福な家に足を踏み入れる。
 
韓国の格差社会の対比を、カメラワークや構図などを巧妙に操り、映像として上手く表現しているところが評価されている理由でしょうか。
 
ただそれだけでなく、映像では伝わらない "匂い” でもその格差を表現し、観客に視覚だけでなく嗅覚も刺激するような演出にセンスの良さを感じました。
 
前半と後半ではかなり雰囲気が変わり、いい意味でメリハリを感じ、全く読めない展開にハラハラドキドキの連続で、テンポの良さも相まって最後まで飽きずに楽しめました。

"パラサイト" というタイトルの意味。貧困層が裕福層に寄生する構図が思い浮かび、実際に作中でもそう感じます。しかし見方を変えると、富裕層は家政婦や運転士などを雇い、貧困層に依存しなければ生活できず、逆の構図も見えてくるのが、皮肉が込められているようで、面白く映りました。

貧乏だけどたまにはビールも飲めるし携帯も持てる貧困層と、それもままならない貧困層。一括りにされ見逃されそうな貧困層の中の格差もしっかりと見せ、韓国社会の本質を的確に捉え、鋭い視点で描く監督の手腕は見事。

見終わった後は、重苦しく虚しさが残りますが、そういう気持ちにさせるのも、この作品の良さなのでしょう。
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