「アイム・デッドリー・シリアス」
コメディとシリアスの緩急に感覚が麻痺する。唐突なルー語、やめてくれ。
独特な緊迫感と不気味さで、心と脳が揺り動かされた。
まずは何より高い演出力が光る作品だった。
冒頭の半地下の窓から見える風景を皮切りに、一連のシーンだけで、キム一家の貧しさが窺える。染み付いたアシックスの白靴下はセンスがあるとしか思えない。
また、メタファーの量と質がエグい。
貧しい身分には分相応ではない「水石」、見えないけど確実に壁として存在する「窓」、半ば諦めに近い「計画」など、拾え切れないほどメタファーが散在している。
最も印象的なのは「臭い」で、どう足掻いても拭えない臭気が明確な貧富の差として機能していた。
寛容と慈愛の塊である「ジョジョ・ラビット」を直前に見ていたせいで、本作「パラサイト」は現代社会の不寛容さを投影しているように感じてしまった。
蓋を開けてみれば、メタ的に考えても当然のような帰結だったが、見ている最中は全く予想できなかった。悔しい。が、最高に面白かった。
何も考えてなかったが、大学3年から200本目の映画が傑作でちょっと嬉しい。